12 posts categorized "書籍・雑誌"

2008.04.06

「ウチのシステムはなぜ使えない」

久々に、本屋の棚の新書で、手に取る気になった本。
期待に違わず爆笑しつつ読む。語り口に皮肉が利いていていい。

それにしても、10年くらい前にも似たような内容とテイストの本を読んだような気がするのは気のせいか。
中の人には気の毒だけど、進歩がないですな。この業界は。

もしや、開発手法は脅威のスピードで進歩しているのに、顧客のモンスター化の方がそれ以上の速さで進んでいる恐怖のスピード狂想曲なんだろうか。

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2007.01.14

「雷の季節の終わりに」

舞台設定が興味深い。「夜市」「風の古道」と同様、複数の似て非なる世界と、その間を行き来する人間とを配置している。
この長編ではさらに、不思議な天上の存在が新たに加わり重要な位置を占めるほか、登場人物も二つの世界をまたがる因縁を背負う。

作者は、この舞台装置を借りながら、現実の社会にもある表と裏を隠喩を使いながら様々に描いており、一連の出来事の中に現実を思わせる鋭い言葉が埋め込まれている。読む側はこれを空想と現実との狭間で転がしながら味わうことになる。

全体の筋書きも悪くない。登場人物の過去現在、二つの異なる世界という時空の二軸をうまく使って奥行きを出している。

お話しの締めくくりはあっさりしているが、それがかえってこのお話しで伝えたいことを浮かび上がらせる。

この物語は、読み手の現実と重なる箴言集として読み味わうのがよい。
読んでいるうちにあっという間に時が流れる、得難い一冊。

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2007.01.05

「ハーバードからの贈り物」

どのエピソードも素晴らしい。
とりわけ私が好きなのは、「サラの物語」。

こんなエピソードを生み出せる人ばかりなら世の中の問題ごとはずっと少なく・・・なると思うのが人の知恵の浅はかさか。

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「夜市」

うかつに感想文など書けない、味わい深いお話し。これを「ホラー」などと分類することはできない。
とはいえ、書評者ではないのだから、気を取り直して自分の思ったことを書く。

これは、兄と弟のそれぞれの生き方と運命を描いたものだ。夜市やいずみは、それを描くための装置。そうは思わせないほどうまい話しの運びではあるけれど。

さて自分は兄か弟か。
弟だとして、そのように生きているか。
そう自問せずにはいられない。


同時収録の「風の古道」もよい。
この作者は、話の閉じ方が美しいなと思う。


こちらのお勧めリストから。

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2006.09.23

「私を離さないで」

あらすじを言おうとすれば本当に短く終わってしまう話。扱われている題材も、SF慣れした人には聞きなれたものだから、いまさら感はあるだろう。特に前半はかなり退屈に思えて、私は正直途中で投げ出しそうになった。ところが、気を取り直して最後まで読むと、不思議な感覚が残ることに気付くかもしれない。
日本という異国で、春と秋に廻ってくる故人達との対話の時期に手にするにふさわしい一冊。

以下はネタバレですが、ばれてもこの本の真価に影響はしないとはいえ、知らずに読むのに越したことは無いでしょう。

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2004.08.22

西の魔女が死んだ

  こちらで紹介のあった本「西の魔女が死んだ」。図書館で借りようとしたら予約ぎっしりなので、買って読みました。私はものを持つのが苦手で、ほとんどの本は読んだら古本屋にもっていくのだけれど、これは手元に置いておくことにしました。買ってよかった。

  さらりとした文体だけど、ツボを押さえてます。楽に読めるのでお話しの中に入りやすい。児童文学では当然のことなのかもしれないけど。

  それでいて、魔女であるおばあちゃんの言動は含蓄のあるものが多い。孫のまいに起こる事柄も、短い描写で今の世の中をよく映し出していると思います。おばあちゃんが英国人であることが、日本を外から見る眼を曇りなくさせているのもいい。
  いまの子どもは大人びて醒めているそうだけれど、本当はこどもらしい感性や不安定さを押し隠しているだけなのかもしれません。この本はそう思わせてくれます。

  後日談もいれると、ここには3通りの女性の生きかたがでてきます。当然その向こうには、男の生きかたも少しだけ出てくるのですが、まあ付録です(笑)。
  揺るぎないおばあちゃんの生きかただけでなく、世代の違う2人のそれもよく類型化されていて、子どもの頃からこんなにいろいろな事例に触れられるなんて、いまの子どもはなんて幸せなんだろう。

  最後の場面も、泣いてしまう人はきっといると思うけれど、両親の葬式からもうずいぶん時が経った自分には、むしろ清々しく希望に満ちて感じられました。

  そのほかにも、じっくり味わえば噛み応えのあるやりとりや場面が無駄なく連なって、隙のない物語になっているこの本心優しいおセンチで素敵なオジサマ(笑)にも、そうでない人にもお奨めです。

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2004.08.12

花摘む人

  「花摘む人
  文筆業を中心とした都会的な職業から農園主に転じて10年を経てきた著者が、今度はワイナリーを立ち上げるお話し。農業成立の難しさと、それにも関わらず、経済性だけでない「生活」としての農業に魅かれ、著述業などの収入を補填しながらチャレンジを続ける著者の奮闘が読める。


ワイナリーの設立趣意書の中で、著者はこう言っている。

いま必要なことは、地域に帰ってその土地に根差した活動をすることだ。・・・その土地でできる農産物を限られた範囲で流通させるシステムを再構築して、工業的生産ではない、生活の営みとしての農業を復活させること。・・・田園で暮らすことが理想のライフスタイルであることを実践によって示すこと。
スローライフには憧れるけれども、しかし単純に同意できない点もある。都市を中心に加速する商品経済に囲まれて、いまさら農本主義に返れるだろうか。一時的には成立するように見えて、比較的短期間のうちに破綻するのではないか。

とはいえ、次の一文には深く頷くほかない。

ワインは同質の中での差異や優劣を争う競争ではなく、多様な個性の展開とその違いを理解する愉しみなのである。まさしく、農業の営みがそうであるように。
農業に限らず、何か本源的なものや永続性のあるものを創り出そうとするときは、常に噛みしめなければならないことばだ。これを見失っては、微差の追求に明け暮れる商品経済の渦に、たやすく飲み込まれてしまうだろうから。

著者の試みが軌道に乗ることを祈りたい。

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2004.06.27

冒険投資家ジム・ロジャーズ

  「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」を読んでみた。2000年前後の3年間の話だから、2004年の今とは少し違うのかもしれないけれど、実際に時間をかけて、世界を一周して歩いてみた人の話は、やっぱりマスコミで伝えられるような話とは微妙に(そして時には決定的に)違う。

  印象に残ったのは、2点。

  ひとつめは、貨幣を勝手に増刷できなくなった政府が、結局、国債という名の新しい貨幣を刷りまくって、どうにもならなくなる、という構図は、円だけのものではないらしいこと。著者の意見では、ドルもユーロも同じらしい。そして、そのツケは、いよいよこれから表面化してくる。そりゃそうだ。(同じ話を、別の有料メルマガでも読んだことがある。やっぱりそうなんだ?)

  ふたつめは、アフリカのNGOの実態。チャリティなどで集まった毛布やシャツなどが、現地に到着したとたんに、それを売り捌く仲買人の手に渡り、あっというまに「商品」に化ける様子。著者によれば、そうした原価ゼロの「商品」が、地元の起業家精神を台無しにしているという。原価ゼロに勝てる企業なんてあるわけがない。そりゃそうだ。

  その後多少は改善されていると信じたいけれど。。

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2004.05.29

「すごいやり方」2

  うん、この本はやっぱりすごい。簡単につくったように見えて実はすごく練られてる感じがする。

  で、ちょっと話は脱線するけれども、アメリカ映画でなんとかソロフィー?とかいう心理カウンセラーがときどき出てくる。最近だと「フォーチュン・クッキー」の母親の職業がそうだった。
  あの映画の中では、母娘の心と体が入れ替わって、母が娘にカウンセラーの役をなんとかこなせるようにアドバイスする場面で、とにかく相手の話に相槌を打って、"How do you feel about it?"と言っとけばいい、てなことを吹き込んでいたけれど、そういう話相手がいるということは、案外大切なのかもなあ。

  「すごいやり方」は、そういう話ができる友達がいることを前提にしている。アメリカ人は、そういう友達がいない人が多いから、話相手をすることが職業として成り立つのだろうか。しかも1時間50ドル?

  ・・でもそれってもしかして日本でも商売にならないかな。「それで、あなたはどう思ったの?」て電話で答えるだけなら、私にもできるぞう。
  さらに、自分でやるのは面倒だから、カウンセラ役のパートさんを雇って、マッチング(あやしげなネット商売の基本だな)と称して手数料をとる。いやいや、カウンセリングを受ける人どうしをマッチして慰め合わせれば、パート代を払う必要もないどころか両方から金を取れるな。スーパーバイザと称してPh.Dでも控えさせておけばハクも付く。

  さらにさらに、そうやって事例をたくさん集めて編集すれば、受け応えマニュアルはどんどんスバラシイものになって、それをまた金にすることもできる。お客が金を払った上に商売のタネまでくださる。おお!ネット商売の基本中の基本じゃないか。そこで「すごいやり方」の47ページを見る。

  「それやるんだ。いつ?」

  ところでこの本の著者は、パンツをはく速さにこだわりがあるみたいだけど、間男の経験でもあるのかな。そもそもパンツを脱ぐ速さはどうなんだ。赤いパンツならどうなんだ。穴あきパンツなら着脱不要ぢゃないか。そもパンツのいらない世の中にできないのか。くだらないアイデアとはいえ、5個も出すのは案外に難しい。

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2004.05.28

「すごいやり方」

  橋本さんのところで紹介されていた、「すごいやり方」。本屋で見つけてぱらぱらっと眺めて、即購入。それにしてもなぜ、サブカルの棚にあるんだろう。

  論理的に整然と書かれた、似たような内容の啓発本は山ほどあると思うのですが、この本はそれらとは少し違う感じを受けます。そう、「感じを受けます」などというフレーズを多用する私のような人間でも、ピピッとくるものがあるのです。

  あとがきを先に読んでしまったのですが、その中で著者は「「自分で実証していないことは書かない」に強くこだわった」と書いています。それがピピッとくる理由かと思います。

  例えば世の啓発本は、「30年先の自分をイメージして。。」など書いていることが多いと思うのですが、凡人である私は、そうした雲の上のような話を聞くたびに、眉に唾をつけながらも一応わかったフリをして頷くことで、なんとか世間に同化しようと努めてきました。
  しかしこの本では、「1年後に私はどうなっていたい?」「3年後は?」と書いています。なるほど、「きれいごとや想像のメソッドは一切入っていない」の言葉に嘘はなさそうです。

  この本は本当のエッセンスだけを、ごく短く書いています。ほとんど俳句にできるくらいに。人を辟易させる低劣な三段論法を論理性と勘違いしてページ数を稼いでいるような啓発本とは、体裁からして明らかに違います。あ。だから、サブカルの棚に入れられてしまうのか(笑い)。

  週末、お日様の下でじっくり読んでみようと思います。

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