939 posts categorized "映画・テレビ"

2017.05.20

「夜明け告げるルーのうた」

湯浅政明という監督さんの絵を見に行った。
「夜は短し歩けよ乙女」がとてもよかったので。

本作も、絵と音楽のノリの良さは天下一品。
そして絵のファンタジー度もメーター振り切れるレベル。

しみじみとノリノリの合間に、少し意味不明な空白があるような気がするので、そこは今後工夫の余地あるかも。
山と谷のつながりの滑らかさ、流れは、「夜は短し~」の方がいい。
でもまあ、お話ほどほどで十分です。

ということで、かなり満足しました。

ルーのパパの声って、柔道の篠原がやってるのかー。

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2017.05.19

「メッセージ」

センス・オブ・ワンダー
ヒューマニティ
最高にいい映画


とてもいい映画なので、ネタバレは控えたい。
それゆえ、あまり多くは書けない。

原作は短編SF小説「あなたの人生の物語」。
そして、映画の原題は"ARRIVAL"。
この原題が本作のセンス・オブ・ワンダーを一言で表現している。
異星人とのファーストコンタクトに始まったコミュニケーションを通じて、言語学者である主人公は、最後にどこに辿り着いたのか。
それは知り得ない未来だっただろうか。

物語を聞き終わって、しみじみとものを想う。そういう作品。

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2017.05.14

「パーソナル・ショッパー」

クリステン・スチュワートには色気がありません(断言)。だから却ってニュートラルに観ていられます。そういう人間が霊媒師を演じるというのは、なかなか良い設定です。むんむんした人だと、霊魂の微かな徴なんて見えないだろうから。愛くるしい人でもたぶんだめでしょう。

いや、皮肉ではありません。
いや、もちろん作中で男性誌にスカウトされるエピソードは皮肉以外の何物でもありませんが。思いっきりいじられてませんか?(笑)

そういう状況でもめげずに演じるクリステン・スチュワートに、ちょっと好意を持つわけです。はじまりの薄暗い屋敷のシークエンスは、とてもいい雰囲気です。これは哀しく切ないゴーストの話なんだろうなあ、という期待が高まります。あくまでも期待です。


それがなぜ、パーソナルショッパーという職業なのか?
そこに特に理由は思い当たりません。華やかなセレブの衣装を彼女に着せてみたい作り手の願望でしょうか。
強いて言えば、霊媒師の暗く涼しい内面をセレブの派手でホットな衣装で包むことで、独特の空気が生まれているような気もしないではありません。かなり適当ですが。

お話はそのパーソナルショッパーの、値段?なにそれ?的な精力的な買物ぶりと、霊魂なんていう辛気臭いものとの間をあちこち飛びます。買い物にカルト。女性は喜ぶんでしょうねえ。よくわかりませんが。
セレブが自宅のベッドの上でストレッチだかヨガだか不明な運動をしながら、隣の椅子に弁護士を侍らせてスマホで遠くのクライアントと電話会議してたりするシーンなんかもあって、布団の上で柔軟体操を欠かさないおばちゃんたちのハートを鷲掴みにしたりします。カンファレンスコールなんて間違ってもいってはいけません。電話会議です。NTTだってそう呼んでいます。


そうこうしているうちに、突然のっぴきならない事件が起こって霊のせいなのかどうかわからん状態に陥ります。でもって、なんだかわからんうちに見たような奴の顔が出てきて街中で鉄砲ぶっぱなしてそいつが犯人間違いなしということで一見落着したりします。

ここまで、もう主人公も観客も振り回されまくりで、霊が居るのか居ないのかどうでもよくなってきます。まあ、霊の方は、ぼくはここにいるよアピールをスクリーンの中で一生懸命続けているので、たぶん居るのでしょうけれど。

なんだか疲れてどうでもよくなった彼女は、遠く砂漠の国にいる疎遠なボーイフレンドのところへと河岸を変えます。我々ももうどうとでもしてくれという気分です。

旅路の果てにそこで彼女が遭遇したものは。。。


ユーモアですね。最後のドーンは明らかにユーモアです。我々を微笑みながらおちょくっておるのです。
ここの最後の表情はさすがにクリステン・スチュワートもしっかりキメてくれました。ここが締まらないとシャレになりませんから。

まあ、ユーモアがわかるなら、そうおそれかしこまる必要もないと思いますが。


という具合で、話の筋を追うよりも、テイストを味わう作品という感じです。その点では、わるくない出来です。


クリステンス・チュワート、目は口ほどにもモノを言わない演技だったのが、それでもだいぶ上手くなった気がします。

シャネルの新作香水の顔にも決まったそうだから、世間の下世話な評なんか気にする必要はないでしょう。この調子でばりばりやってほしいです。

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2017.05.13

「スプリット」

多重人格障害といえば、ビリー・ミリガンが有名だが、それを下敷きにしたと思しきものが本作。もっとも、虚構である本作には、実話のビリー・ミリガンとは異なる到達点が与えられる。そこがこの作品のクライマックスの見どころ。

あり得るのだろうか。そんなことが。作中の医師が言う通り、人間には限界というものがあるはずだ。だが、それを超越してこそのフィクションだろう。ちょっとイカレた存在が主人公の方が、作品の翳は濃く、情動は強くなる。

ナイト・シャマランは、これまでもそういう病的な(笑)ベクトルの作品を作ってきたと思うけれど、今回、その方向に一層強く、思い切りよく踏み込んだ。いったいこれからどうなってしまうのか。

お話は、解離性同一障害者と、彼が監禁した3人の普通人との駆け引きで、終始緊張が保たれる。ジェームズ・マカヴォイはこういう役にうってつけだ。レオナルド・ディカプリオが演じた方は見逃したけれど、本作で十分満足です。

それにも増して本作で光っているのが、アニヤ・テイラー=ジョイ。「大物」の呼び声が高いそうだが、さもありなん。曲者のマカヴォイに負けてない。ラストで、パトカーから降りるのを拒んだときは、ケビンと同じように"ピー"してしまうかと思ったくらい。本物の魔女が現れた。もっとすごい役ができるはず。

ラストのネタバレは厳禁だそうだけれど、まあ、そんなに驚くようなものでもない。この監督は映画づくりは上手いのだから、不必要に煽らなくても、十分面白いと思います。

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2017.05.12

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」

日常に疲れたら何も考えずにバカ笑いできる映画を観に行くのが健康にいい。というつもりでいったら、結構真面目だったり、クライマックスで大いに泣かせたり。前作とちょっと違う。

それでも、ギャグがあったりパロディがあったり、ちゃんと笑かしてくれるところはやっぱりいい。

300曲も入るアレがでてきたときの、ピーターの目の輝きなんか大いに笑える。笑かしながらちゃんと世の中の速すぎる進化をちょっと皮肉っている。のかな?

笑いと寂しさ、ほっこり感と切なさ、そういうものがバランスよくたくさん詰め込まれて、前作もまあまあだったけど、これはかなりいい出来。すごくお得な一本でした。

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2017.05.06

「ノー・エスケープ 自由への国境」

不法移民側の視点から見た作品。阻止する側の視点は少ない。

米墨国境の砂漠を突っ切って米国に入る移民たちを、一人の米国人が銃で次々、狩りをするように撃ち殺していく。必死で逃げる主人公が、追い詰められた末の叫びが、"ARE YOU A MAN ?"

これを日本語字幕は「助けてくれ!」と訳しているが、とんでもない。ここは「おまえそれでも人間か?!」だろう。

狙撃銃を手にピックアップトラックと犬を使って、武器を持たない徒歩の移民たちを次々に殺していく側に、同情の余地はあまりない。

さすがに、獰猛な犬に噛み殺された移民の前では、帽子を脱いでいっとき黙祷したりはしている。また、この狩る側の男は妙に虚無的だ。愛国とか国益とかの臭いもなく、政治的な言い訳は、無い。

彼には彼なりに、移民が自分の静かな領域を冒す許しがたいやつらに見えるのかもしれない。
幸いにも、そういう二律背反の深刻な問題に直面したことがないので、何というべきかわからない。


生まれ育った土地が暴力と麻薬に染まる中、仕事も安全も自由もある隣国へ逃げ出したい移民の、苦難のスタートを描いた、印象的な作品。

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2017.05.05

「カフェ・ソサエティ」

ウッディ・アレンの作品をそれほど多く見ているわけではないけれど、これはかなりいい出来に思える。

作品そのものはもちろんだけど、俳優さん達の特徴を引き出して、言い方はアレだが、成長させている、という点で。

ジェシー・アイゼンバーグは割と好きな俳優だけれど、それは彼の早口でキレのいいしゃべり方だったり、冷酷さの表現だったりするわけで、本作のようなロマンティックな空気にも主役として適応できることがわかって意外だった。

クリステン・スチュワートは演技について酷評があるそうだけれど、この作品ではそれなりに演じているように見える。いかり肩を目立たないようにすればもっといい。

これらは監督の手腕というべきなのではないだろうか。

その他、世相についての風刺はいつもどおり。にやりとする場面や、へーそうなのかと思う場面が多め。
そんなこんなで、かなり満足度高い一本。

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2017.05.04

「イップ・マン 継承」

かっこいい。
いつも見ても、ドニー・イェンのイップ・マンは、最高にかっこいい。最初に見たのはhuluでだったけど、映画館の大画面で見るとまた格別です。

加えて今回は、泣ける。
よいなー。
どうよいかは劇場でご覧あれ。

マイク・タイソンとの対決シーンも、すごくいいです。
締めは同じ流派のカンフーどうしの対決で、これもなかなかよかったけど、その前に、異種格闘技で、しかも相手は本物の元世界チャンピオン。
しびれます。

小手調べの後、相手の強さを知って目つきが変わるのね。焦点をぼやかしているのに射るような目。この辺は、さすが武道家兼俳優です。

見どころがいろいろあって、超お薦め。
ただし、古い価値観の人のみ。(笑)

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2017.05.03

「午後8時の訪問者」

あっさりしているけど、いい作品。
サスペンスなどと大袈裟に言うよりは、町医者ジェニーの事件簿くらいに言いたくなる仕上がり。

主人公を医者にしたのは成功だ。彼女は事件に関わりのある人々の体調を診ながら、その嘘と誠を聞き分ける。相手の痛みや感情に巻き込まれ過ぎないように注意しながら、しかし癒し手としての医者の本分も忘れない。

そういうキャラクタが事件の謎を追う、という設定は、官憲が仕事をするのとは違う視点をもたらしてくれる。

直接の患者でなくても、町医者に対して一般人は普通、多少の尊敬の念を抱いているし、あまり酷いことはしない。病気や怪我は誰でもするし、そのとき真っ先に頼る相手なのだから。加えて職業上の守秘義務もある。

普通の探偵とは違う、そういう主人公の特徴を生かした一本でした。

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2017.05.01

「美女と野獣」

なんだこのクサい演出は!と怒りだしそうになると、エマ・ワトソンのアップ。

なんだこの田舎芝居!と思っていると、エマ・ワトソンの笑顔。

勝てません。勝てる気がしません。


でもちょっとだけ言わせてください。

あの村の作り物めいたスケール感や色調は、当然、村を嫌いになるように仕向けていると思うけど、ちょっとやり過ぎではありませんか。ほっぺたにナルトの渦をクレヨンで描いたバカボンが突然現れても何の違和感もない、そういうケバい絵です。

いくら魔女の呪いで少しイカレてしまった村だからと言って、どうにも不自然です。第一そんな作為的なつくりの村に、呪いを解く美女が生まれ育っているなんて、変じゃありませんか。普通、解呪の鍵は外から来るんじゃないですか。

もうちょっと言わせてください。

いくら米国的にポリティカリーコレクトだからといって、ああいう欧州中世の城に、黒人がたくさん居て、白いドレスに白いお白粉赤い頬紅で社交ダンスしてるのは、変すぎやしませんか。いやはっきり、変です。漫画的な画質はそういうところからも滲みだしてきています。

さらにさらに言ってしまいます。

ベルは勇敢で変わり者で知識欲旺盛なのに、それでもやっぱり玉の輿の定型に嵌まらざるを得ないのは、少し残念です。リアルな世界ではガストンのような人物こそが、自然に対抗して人間の居住域を広げるに与るところ大だったと思うのですが、作中ではそれは忌むべきものとして扱われて、既得権者である王子の方を善玉に仕立てています。御伽噺だからこれでいいとはいえ。釈然としません。


まあでも、いいです。これはエマ・ワトソンに捧げられた映画なんでしょうから。わしらは彼女が演じる健気な女性像を観にいっているのですから。

ただ、そのことがこの女優さんの幅を狭めてしまわなければと、それが気掛かりです。
とりあえず、歌に情感を込めるのは上手くないみたいだから、もうやらなくていいんじゃないかな。

それと、あの衣装だから仕方がないけど、無理に胸を強調するのはそぐわないな。本人も嫌がってなかったっけ。
わしらはそんなものを期待しているわけではないです。

もろもろ見せつけておいて、最後に男に "I'm not beast" とか言わせるのが、まあ女の勝利ということかもしれませんが。

ということで、次はよろしくね。

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