「新世紀ロマンティクス」
https://www.bitters.co.jp/romantics/
数十年前には、日本にも同じようなカテゴリの映画があったと思う。終戦後しばらくして経済成長が胎動し始める頃から高度成長の終わりまでを駆け抜けた、ひと昔前の世の移り変わりを走馬灯のようなコラージュで映し出す作品だ。本作はそれと同じで、改革開放以降から現在までの中国の移り変わりを映し出している、ように見える。見えるというのは、私は中国の実情を知らないので、これがどの程度実際を反映しているかがわからないからだ。ただ。形式としてはそのタイプなので、おそらく中国もこのとおりの歴史を経てきたのだろう。
そう予想して見に行って、その通りのものを見てきたという感じ。
ただ、それとは別に、本作の時間の流れとともに歩む男と女には少し注目してもいいかもしれない。二人とも様々な職業を経験して、結局、社会的に成功したとはいえないつましい暮らしのまま年老い故郷の大同に帰ってくる。けれども、男がその苦難の人生を顔と体に刻んで老いたのと対照的に、女の方は苦難に耐えながらも覇気と生気を失わず、真っ直ぐ前を見つめている。その違いを際立たせるのも作り手の意図だったろうか。
淡々とした流れの作品でした。