カテゴリー「映画・テレビ」の1000件の記事

2022.08.01

「ムーンフォール」

amazonPrimeで。
 
ディザスタームービーを観たいなと思っていたところへ、ちょうどこれが来たのでさっそく観ました。
 
出来はB級なのですが、映像は割とよかったです。設定もぶっとんでいて、世に言う陰謀論が実は事実だったとわかるのが面白いです。
 
話の展開が少し速いので、迫りくる破滅の恐怖がもうひとつだったところは少し惜しかった。でもこの設定、この展開だとぎりぎりやむを得ないかという感じです。
 
ロシュ・ワールドというSF小説が記憶にあるのですが、そのロシュの限界付近の現象をストーリー展開に生かしているのは上手かった。最後の希望だったスペースシャトルの打ち上げで、3基のエンジンのうち1基が起動できなくなり万事休す、スタッフも全員避難した後のそのとき、予想外の力のおかげで2基でも打ち上げられるとなったときの驚きは、まさにセンス・オブ・ワンダーでした。
 
あとはまあ普通のアクション映画です。スクリーンからはみ出るかのような巨大構造物の描写をたっぷり堪能しましょう。

 

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2022.07.31

「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」

まあ、いつもどおりのジュラシックでした。懐かしい顔がたくさん出てきて揃い踏みだったけど、どういう話だったかはあんまり覚えていないので、見落としている面白さがあるだろうと思います。
 
このシリーズというかフランチャイズっていうのかな、は初期の頃は人間の無力さを思いっきり味わえるのがいいところだったけど、途中から、人間も知恵を使い始めて、恐竜は怖くない、制御できるみたいな話になってきたあたりから面白さが薄れたように思います。新種の恐竜を技術で生み出すという流れになると、なんというか、焦点は人間の業の方に移ってしまって、恐竜は脇役に追いやられた感もあります。
 
そういうわけで、その集大成たる本作でも、残念ながら恐竜は脇役です。ステレオタイプな人間ドラマの占める割合が大きくて、単純に恐竜でかいこわいを楽しむものではなくなっています。
 
それにしても、テックジャイアントって米国では相当嫌われ者になってきてるのかなと感じさせる設定でした。人の意見を聞かず、自分の考えが唯一絶対で、技術で儲けることしか考えていないかのように振る舞う様子が強調されていて、知らずに嫌悪感を植え付けられます。実際のところどうなんでしょうね。
 
とうわけで、見ないわけにもいかないけれど特にお勧めするほどでもないといったところでした。
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ところで、本作には実はとても印象的な絵があります。ストーリーの本筋とは何の関係もないのですが、冒頭、恐竜の子どもを盗み出すシークエンスの終わりあたり。どうにか追っ手を撒いた主人公たちが、明け方の荒野でこれからの行動を思案する場面ですが、ここの色合い、風のそよぎ、空気感が絶妙によかった。巨大組織に抵抗しようとする彼らの寄る辺なさが見事に表現されていたと思います。
 
CGで作られた恐竜の絵よりも、この何の変哲もなさそうな絵の方がはるかに印象に残るあたりに、映画というものの技術の奥行を感じました。(もしこれもCGだとしたら、もう何も言えませんが)

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2022.07.18

「カンフーパンダ 龍の戦士たち」

NETFLIX 全11話
 
カンフーパンダのコメディは、もちろん主人公パンダ、ポーのずっこけに味があるわけなんだけど、その脱線振りを真に受けて怒りを募らせる生真面目な相棒の存在が欠かせない。今回は熊のルセラ、イングランドの騎士、ワンダリングブレードがそれ。名前からして大仰でしょ。
 
それにしてもカンフーマスターって悠久の中国大陸の話だと思ってたけど、なんかこのシリーズはそうじゃないらしいです。一応お話の発端である本作はまだ中国っぽいけど、なんと最後は悪人どもを追って中国の外へ出るみたいだし。イングランドまでいくのかな。
 
そういうわけで、この東西の熊2匹の凸凹コンビによる捕り物道中バディムービーというのが本作の骨組み。まあ面白いわけですよ。
 
アニメーションは。TVシリーズだからなのか、ちょっと予算けちってるかなと思う所もあるけど、あまり気にしない。それより、ポーのはずしまくるギャグの中に時折、寛容さとか義務より友情とかいった緩いものがきらりと光るあたりを楽しむのがよいです。
 
相方のルセラもそうだけど、悪役のイタチの姉弟とかの来歴もなかなか奥深くて、これからもっと面白くなりそう。わき役たちも多彩で個性的で、ピンボールのバンパーみたいにポー達を物語のあちこちに弾き飛ばします。
 
ということで、このシーズン1はイタチ姉弟を追い詰めながらも取り逃がしたところで、次回に続く。早く次が見たい。

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2022.07.10

「ソー:ラブ&サンダー」

くだらねー! そんで
おもしれー! てことで
娯楽超大作シリーズがみごとに立ち上がりましたよ。
わしら庶民が求めている娯楽ってこういうことだと思うんだよね。
そりゃもちろんテツガク的で難解な作品とかがっつり真剣な恋愛とか血も凍るホラーとかもいいんだけど、こういうバラエティっぽいカオスの中に一本筋が通っていて安心できてディテールにはすごい高度な技術と感性がてんこもりなこういう贅沢な娯楽がっ!
ワタクシたちが週末の安息のひとときに求めてやまないものなんですよ。すばらしい。
 
ここで繰り広げられる世界観はそりゃくだらない定型かもしれん。底の浅い正義感で日常の平穏を破壊する世界の警察気取りとか、金ぴか金満の既得権に安住する雲上人の世界とか、光と影が濃い漆黒の絶望の世界とか。でもそういうものを背景に後退させるほどに強い輝きを放つソーという単純で純朴でやや粗暴でちょっと迷惑(笑)な奴が、先人から連綿と引き継がれてきた信条に従って真っすぐに己の筋肉道を突っ走っていく姿が、いまの混沌に生きるわしらに必要な道標なんだよ。まぢ感動しました。
 
そういうわけで、世間の評価は割れること必定だけど、これは必見としておきたい。
 
* * *
 
ナタリー・ポートマン、こういう映画向きの俳優なのかどうか疑問に思っていたけど、最後は正統派の悲恋をみごとに演じて綺麗に散華して退場します。よかったよかった。シアーシャ・ローナンは絶対この界隈に来るなよ。
 
と思っていたら、いつものエンドロール後の予告でマイティ・ソー復活宣言されてしまいましたよ。いいのかそれで。
おまけに今度の設定はアズガルド対オリュンポスっぽくてもうほとんど少年漫画の世界ですわ。てかもともとアメコミなんだった。なんかシャザム2にはヘレン・ミレンとか出るみたいだし、君たちいいのかほんとにそれで。
 
そういえばテーマパーク「アズガルド村」の安っぽい民族劇の演出家みたいなチョイ役のやつ、ちらっと映った横顔がマット・デイモンみたいに見えたんだけど錯覚かな・・ほんものなら贅沢過ぎるだろ。
 
ということで今後も目が離せないMCUなのでした。

 

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2022.07.04

「流浪の月」

外形的な事実をもって、人は他人を判断し、時には断罪する。けれども当人たちにとっては、真実は異なるということがある。本作はそれを切なく美しい物語に仕立てている。
 
もちろん、たとえばオウム真理教の例を引くまでもなく、世間としては外形的にものごとを切り分けていかざるを得ないのだろうけれど、それはあくまで、当人たちの外側の世界の利益・不利益に基づいた行動だ。本人たちがその中で満ち足りていて、外の世界にさしたる害もないのであれば、過剰に干渉する必要もないことだろう。
 
その過剰な干渉、価値体系の無自覚な押し付けに対して、若い女性がきっぱりした拒否の言葉を返すまでに成長しているのが現代的な味付けになっている。
 
普通に感想文を書くとすれば、まあそんなところか。
ただ、少し設定を捻り過ぎている感じがあって、落ち着きが悪い。話のつながりも作為的な匂いがしてしまうのが残念だ。先が読めてしまうというか。もう少し微妙な綾でつなげられればとも思うけれど、題材が特殊なだけに難しいのかもしれない。
 
それにしても、広瀬すず、上手かった。一度目に更紗が文に泣きじゃくりながら謝るところは絶妙でした。アクの強さがストレートに出る感じの俳優さんだけれど、この場面は全く違う才能を見せてくれた気がします。
 
お話も、ここで止めていればハッピーエンドだったのになあ。まあ、それだと凡庸の誹りを受けそうだから、先へ進まざるを得ないのだろうか。
 
この後、世間は二人の幸福を許さず愚劣な牙を剥く。安寧は破壊され、二度目の謝罪から流浪へとおちていくことになる。
 
やりすぎに感じるのはこの辺りだが、これは作り手の問題というよりはむしろ、物語を過剰に消費せずにはおれない受け手側の強欲、少数者の不幸を見たくて仕方がない人の愚かさの方に問題があるのかもしれない。
 
とはいえ、この二人、特に更紗の方は、そんな世間の目など気にせず、内面の幸せがあれば十分だと悟って終わるのが救いだろうか。

 

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2022.07.03

「ベイビー・ブローカー」

この監督の作品はいつも家族をテーマにしているように思える。それも、普通の家族を描くのではなく、多様な家族の在り方を提示することで、家族なるものの本質を追い求めているような作品ばかりだ。「だれも知らない」では大人がいないユートピアだがそれゆえに持続できない家族。「海街ダイアリー」は父権的存在がいない形の家族。「海よりもまだ深く」は婚姻制度上は壊れたもののなんとなく繋がり続けている腐れ縁的な面白家族。「万引き家族」ではついにタイトルに〝家族〟が登場。生みの親と育ての親を比較して、共生の体験が家族を成立させる不可欠な要素であることを描いた。(「そして父になる」を見逃したのが残念。)
 
本作では、育ての親にまだなっていない人々が、捨てられた赤ん坊を抱えてその将来を案じつつ北に南に奔走するなかで、次第に疑似家族のような感覚が育っていくのを描いている。その疑似家族のメンバーが大人から子どもまで多彩であるところが、本作の深い味わいを引き出している。過去のよくわからない中年の男、赤ん坊と同じ捨て子で施設で育った若い男、同じく施設の少年、そして、驚くべきことに、生みの親たる若い女。この4人が赤ん坊を中にして、互いの過去を少しづつ理解しながら、微妙な綾のやりとりを経て絆を深めていく。中盤の列車の中で、赤ん坊が本当の弟だったらいいのにと施設の少年が口にする所が、この疑似家族の到達点だ。本当に見事に組み立てられた感動的な山場になっていて、思わずほろりと泣ける。並走するように彼らを追う女性刑事の思考の変遷もたいへん効果的。
 
「万引き家族」では、情に薄い生みの親を定型的に短く描き、育ての親との違いを際立たせて家族の本質を浮き彫りにしたが、本作では、今度は生みの親の深い愛情と屈折した発露を手間暇をかけてじっくり描いている。物語の中では、この実の母親の心情は霧に包まれていて、何度か問いかけはあるものの、そのたびにやんわりと拒絶される。その深い想いが言葉となって形を成すのは、旅の最後の道行きで中年の男が言い当てたとき。本作の静かなクライマックスだ。我々はとうとうこの女を真に理解し、深い感銘を覚える。はじめから説明してしまってはそれこそ定型でしかないところを、紆余曲折の果てに熟考を経た言葉として結実させる。その巧みな物語の手続きが、観客を感動にいざなう。
 
毎度のことなのだが、この監督の丁寧な対話による物語の進め方、微妙な心の裡を扱う匙加減は絶妙です。
今回もまた、傑作というものを見せてもらいました。

 

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2022.07.01

「G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ」

NETFLIXで。

GIジョーのシリーズ3作目で、人気キャラ、スネークアイズの誕生秘話らしい。といってもGIジョーを観たことがないので、その辺りはよくわからない。
 
欧米人の夢想する奇妙奇天烈なにっぽんという異界がここには描かれていて、キッチュ感が溢れているのだが、この作品の位置づけを聞けば納得できる。独立した作品ではないので、ある意味やりたい放題ができるのだろう。
 
「ウルヴァリン:SAMURAI」といい本作といい、なんでこうなるのかと思うけれど、まあひとつのジャンルだと思って楽しめばいいだろうか。マカロニウエスタンの奇妙な主人公達みたいな。
 
個人的にはスネークアイズが嵐影に課された三つの試練の一つ目がよかった。格闘術の達人と向き合って、水の入った椀をひとつづつ片手に持ち、相手の椀を手に入れれば合格というものだ。水をこぼしてはいけない。また、チャレンジは四回まで。
 
スネークアイズははじめ、力づくで椀を奪いに行って軽くあしらわれてしまうのだが、最後の四回目にある気づきを得て、こう言う。
「あなたの椀と私の椀を交換してくださいませんか」
 
これは想定外のよいテストだった。本作にはほかにも、日本的な調和を思い起こさせるシーンややりとりが多い。日本の観客には受けるだろう。
 
ということで、B級味の中に日本的な要素が結構たくさん散りばめられていて、幻惑されました。

 

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2022.06.28

「ノット・オーケー」

NETFLIX シーズン1全7話
 
どうも気になると思って見てみたら、「このサイテーな世界の終わり」のジョナサン・エントウィッスルが製作総指揮です。道理で引っ掛かるわけだ。
 
どちらの作品も、外国人の目に映るアメリカの上澄み1割ではなく、それ以外の大多数の田舎住まいのマイルドヤンキーを描いているところが共通しています。といっても、そこは映画なので、マイルドと言うには少々逸脱していますが。
 
生まれた土地を離れることもなく、高校生活が人生のピークであるような生き方を、批判的に見る眼差しがこの作り手にはあり、それが物語を駆動する力になっているように見えます。
 
このシーズン1は序章として作られていて、本領はこのあとのシーズン2以降で発揮されるはずだったそうですが、コロナ禍でその計画が打ち切りになってしまったのは、まことに残念です。この7話だけでは、少し思い切りの足りない未完成品にどうしても見えてしまいます。
 
「このサイテーな・・」のアリッサ(シェシカ・バーデン)は鋼の精神力で強烈な印象を残しましたが、本作の主人公は、妙な超能力を持っているものの、本来は気弱で傷つきやすい陰キャのようで、話が途中で終わっていることを割り引いても、印象が薄いままでした。アリッサのような人間の普通の強さを描かずに、超能力という小道具に頼ったのが裏目に出たように見えます。
 
これにめげずに、また面白い物語を見せてくれると嬉しいです。

 

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2022.06.27

「ザ・ロストシティ」

予告編を見ると確実に見る気が無くなる映画なのに先行している米国ではそれなりに人気があるらしい、というので気になって衝動的に見てみた。
 
予告編での登場人物たちのかっこ悪さは、実はそれこそが狙いだということが程なくわかった。そこから、かっこ悪い普通の俺たちはどういう風に恋愛したらいいのか、てなことへと繋がっていく。予告でもその存在が不可解だったブラッド・ピットは、従来型のイケメンマッチョな主人公像を否定して見せるための、いわば当て馬。なるほど道理で浮いていたわけだ。
 
インディー・ジョーンズ以来の宝探しでは、財宝は物理的に存在して、その争奪がお話の山をつくってきたわけだが、本作ではその代わりに、ロマンティックな種明かしを持って来ている。いま風でよいんじゃないでしょうか。
 
特にお勧めするほどではないけれど、時代の変わり目にふさわしい普通ぶりでした。

 

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2022.06.26

「東京2020オリンピック SIDE:B」

これは何と言うか、いい映画です。
 
もちろんあのオリンピックは、普通でなかったことは確かで、それゆえに批判も多かったと思うけれど、そうした俗世の穢れを超えて、この作品はよい。
 
そのわけは、裏方に多くの光をあてて、マネジメントの良し悪しに依らず現場の強靭さでものごとを何とかしていくという我々社会の特質を浮き彫りにしているから。そして、100年後にもそれを受け継いでいってほしいという願いを込めているから。単なるドキュメンタリーに納まらずその先に踏み込んでいる。
 
コロナ禍に翻弄される中での進行は本当にたいへんだったろうと思う。加えてマネジメント層の女性蔑視発言や広告屋のデザイン盗用などが追い打ちを掛け、やる気がダダ下がりしておかしくない状況だったけれど、関係者は粘り強く仕事をした。
その経過を、SIDE:Bで運営側の敢闘を描く構成で、SIDE:Aで描かれた選手たちと同じ重みを運営スタッフたちに与えたのは、とてもよかった。
 
この大会は実に様々な課題、時代の節目を炙り出したわけだけれど、それらを、出演者の口を借りて短く印象的に挿入していく手法も効果的で、記録映像ではなく映画作品として優れていたと思う。

 

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