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November 2025

2025.11.30

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」

https://www.netflix.com/title/80057281

NETFLIX

一番最初のシーズン8話を見た。ミリー・ボビー・ブラウンがまだ子どもで超能力少女を演じている。

お話は複数の登場人物の視線で語られるエピソードを繋ぎ合わせて全体像を見せる形で、観客は謎も危機も知っているが、それを知らずに危険な目に合う登場人物をハラハラしながら見る。こういう形式を何というのかGeminiに聞いてみたら、「劇的皮肉(ドラマティック・アイロニー)を効かせた群像劇サスペンス」という答えが返ってきた。うん。まあサスペンスです。

前半4話くらいまでは少しテンポが遅くて多少退屈する。倍速でみてもよかったかもしれない。後半は謎が色々繋がってきて、同時に、ばらばらだった人々の知恵と知識が徐々に結集して強さを発揮するお決まりの展開。最後は超能力少女が怪物を倒して自分も消えるせつない結末。まあ特に言うこともないです。

映画がおよそ2時間という制約の中で工夫するように、ドラマは50分×8話の制約に引き延ばすよう工夫しているので、どうしてもどこかでダレてしまうのは仕方がありません。
子役時代のブラウンが鼻血だしたり怖い顔で凄んだり頑張ってました。そして、怪物よりもウィノナ・ライダーの逝っちゃってる目つきの方が怖かったです。ほんと上手い。

物語の中心が子どもたちだから親に隠れて冒険三昧の面白さがあるので、ちら見してみた最新のシーズン5で青年たちが相変わらずTTRPGネタで真剣に作戦を練っているのはなんだか合わない気もします。
なので、シーズン2以降は見ても見なくてもという感じ。

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「WEAPONS」

https://www.warnerbros.co.jp/movie/c8r-63sq936/

面白かった。アドレナリンがじわじわ出続けて最初から最後まで目が離せない。その理由は最初にいきなり置かれた巨大な謎のせい。

それなのに、その後は一見関係がありそうでなさそうな各章がそれぞれの視点で語られていて、謎の存在を忘れさせたり思い出させたり、それがあっという瞬間に繋がったり、そのあたりのくすぐり方が上手い。

人物の描写も立体的だ。懐かしい感じのする米国の田舎のシーンを背景に、善良な人から少し問題のある人まで、同じ人物の中にも良いところからわるいところまで、人の多様な実相が手際よく描き出されて、いい味を出している。

その一方で、この災厄が登場人物のよしあしに関わらず差別なく降り掛かるのがよい。いい人は生き残るというありがちな作為や、世相を映すようなメッセージ性がなく、サスペンスに振り切っていてすっきりしている。見る方は余計な裏読みをせずに、純粋に薄気味悪い展開を楽しめる。

最後は少しコメディタッチもまぶして因果応報な終わり方なっていて、それまでの薄気味悪さを払拭しているのも後味がいい。とはいえ、被害者のその後については、やりきれなさが多少残るが、ご都合主義を排していて却って好感が持てた。

全体に緊張感が途切れない良作。
あの走り方が、原神のドッカン娘みたいでニヤついてしまいました(^^;

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2025.11.23

「見はらし世代」

https://miharashisedai.com/

家族を捨てて仕事を取った男と、弱者を追い出して進む都市開発とが重ね合わされる。切り捨てられた子どもは社会に対する醒めた思いを抱きながらも、それだけではない何かを親たちの中に見出して、少し変わる。そういう感じだろうか。

ばらばらになった元家族が、最後に共に食事をした場所に再び集まって、これから一体どんな修羅場を見せられるのかと思ったときに、意外な展開から、思ってもみなかった親世代の真実を垣間見せられて、子どもたちの蒙が啓かれる。

それでも、子ども世代の基調が変わるわけではない。明日も今日と変わらない日常が続くのだが、少しだけ爽やかな風が吹いていったような淡い希望が灯っている。

うまく言葉にはならない感覚的なものがあるのですが、そんな風な作品でした。

* * *

再開発前の宮下公園がホームレスのねぐらだったころから、ヒューマントラストで映画を見るときは、あそこのバイク置き場を使っていたので、立ち退き騒ぎの現場も横目で見てはいた。

年齢的には、本作の親の側なのだが、そういう経緯があって、むしろ子どもの側の目で本作を見た。

時代とともに開発が進んで、住処を追われる人たちもいるのだが、ほかに新しく居場所を確保できるなら、立ち退きもやむを得ないだろう。それは仕方がないことだ。
古い世代の中には、それを絶対に認めず、元のままでありつづけようとする原理主義的な考えの人もいるとは思うけれど、若い世代はそれを冷ややかに見つつ、常に変わりゆくものどもと向き合う自分たちのスタンスを模索しているように思えた。

 

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「果てしなきスカーレット」

https://scarlet-movie.jp/

見るかどうか迷ったが見てよかった。
映画ではなく寓話として見れば、これは間違いなく名作と言っていい。

私は映画的な教養がない分、映画鑑賞の定型的な枠組みに囚われることがない。むしろ作品のリズムや奥行きを大切にする。

その点で本作は一級品だ。この監督がときどきやってしまう後半のダレが今回はなかった。そして主人公がなんとも魅力的だ。これは絵と声と動きの力だろう。アニメーションの利点を存分に活かしている。実写の俳優では到達できない地平だ。

主人公だけでなく、背景となる煉獄のような世界とその審判者を務める龍のような存在の描写もすごい。仄暗く荒涼とした背景の描写はこの話の寓話性を際立たせているし、龍の超越的な力は、主人公を簡単には死なせずに、本作のテーマが包含する重荷を背負わせる軛を思わせる。

そしてテーマ。
復讐と赦し。それは同族殺しを繰り返してきた人間の永遠の課題だろう。キリスト教的な考えに立てば、赦しとはまず第一に神が無条件に人に与える恩寵であり、そこから、人が他者に与える赦しが生まれる。復讐する権利を手放し、相手の幸福を願うことを「意志」として選択することが、キリスト教的な他者への赦しだ。(by Gemini)

作り手はここにもうひとつ、新たな「赦し」を付け加えている。それは最後まで見てのお楽しみだが、それを導入するために、復讐の炎に焼かれる主人公とはまるで別の、もう一人のスカーレットを描いている。

おそらく、本作にダメ出しをする向きは、特にここの場面が受け入れ難いのだろう。しかし、煉獄とはおよそ場違いな渋谷の街角で楽しげに踊る主人公を描いてこそ、時代を超えた普遍性を持ち得る3つ目の赦しの意味が深く染み入ってくる。眉間に皺を寄せて仄暗い荒野を彷徨う主人公が赦しを得るためには何が必要不可欠か、それこそがこのシーンで作り手が伝えようとしていることなのだ。

本作は名作だと敢えて言う理由は、ここにある。

まあ確かにどぎまぎしますけどね^^;

 

小理屈は置いておいて、芦田愛菜の歌声に乗って伸びやかに踊るスカーレットを、素直に楽しみましょう。それこそが、本作の正しい鑑賞態度というものです。わかってもわからなくてもね。

こんな具合に従来のいろいろな枠組みを逸脱しているので、本作は寓話として楽しむのがよいわけです。絵も、脚本も、そういう風に作られているのですから。

私の目には、本作はたいへん意義のある良い作品に見えました。

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2025.11.16

「秒速5センチメートル」

https://www.netflix.com/title/70093699

NETFLIXで。

新海誠の初期の作品。言わずと知れた傑作です。
正直なところ、その後の大作もいいけど、本作の方が純粋なエッセンスだけでできているようで、作品としては上質な気がします。

ちょっと不思議なのは、「秒速5センチメートル NETFLIX」で検索すると、なぜか英語のタイトルが出てくるのです。海外でも売れているのでしょうか。

この作品には日本的な情緒が色濃く反映されている気がするので、果たして海外の人の心に刺さるのかどうかよくわかりません。裏を返せば、この作品が刺さるのは、私たちと似通った情緒を持っている国や地域の人たちなのかもしれません。まあ考えすぎですかね。
スマホでいつでも連絡がとれるようになった今。私たちはこの作品のような情緒を既に失ってしまったと思います。それはとても残念で、生まれたときからテクノロジーで繋がっている子供たちとは、理解し合えない部分があるかもしれないと思っています。

そういうことをふと認識できて、改めて見てよかったと思いました。

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「トリツカレ男」

https://toritsukareotoko-movie.com/

今日は最高の日だ。こんな傑作を見ることができて。
「爆弾」の底なしの悪意が空けた深い穴を埋めて余りある善意と愛の物語。たぶん本年ベスト1。

物語という場では往々にして、悲劇や悪意のほうが人を引き付けやすい。ハッピーエンドや善意は一見、弱々しく見える。

けれども、それを真っ直ぐに脇目もふらずに貫くとき、善は悪を遥かに上回ることができる。そう思わせるに十分なパワーを持った頂点がこれ。

本作の物語る姿勢が最高であるのは言うまでもないが、それに加えて、語り口、登場人物の活かし方等々、非の打ち所がない。つまらない感想をあれこれ言うのもためらわれる完成度。

近年、世の中は随分スレてしまって、リアリズムに毒され過ぎている中で、これほど素直に善なる心を貫いた作品は滅多に見られない。だからこその必見の一本。

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2025.11.09

「劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」」

https://theater.toho.co.jp/toho_theaterlist/shibuyashimetsu.html

原作は読んでないけど時々youtubeに流れている解説動画などでなんとなくの大筋くらいは知っている、という者なので、まあ、微妙ですね。
絵は手抜きで話は思わせぶりで褒めるところが少ないです。
そもそも絶叫があまり好きではないので尚更。

見たあとで、これ本来のファンはどう思っているのだろうと思って検索すると、やはり酷評が多いようです。TOHOはこういう雑な企画は注意したほうがいい。せっかく日本のサブカルコンテンツの高品質が世界で評価されつつあるのに水を差しかねません。そういうのやめてくれ。

現場の野次馬からは以上です。

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「旅と日々」

https://www.bitters.co.jp/tabitohibi/

つげ義春という作家の名前は子供心に知っていたけれど、読んだことはなかった。ちょっと大人の本という印象だった。本作はその作家の2作品をつなげてみたものだそう。

出だしの印象はよくない。まるで学園祭に出すために中学生が一生懸命撮りました。リビドーっていうのを本で読んだので、といった風だ。でもその理由は程なくわかって、なーんだという気持ちになる。それで、身構えていたこちらの気持ちもほぐれる。

後半は雪国の景色に移る。トンネルを抜けたときの開放感、異国情緒が素晴らしい。目が洗われるようだ。あとはもうじっくりと、雪深いひなびた温泉街のはずれにあるボロ屋の生活感にひたりながら、そのボロさと対照的な、雪がつくる風景の冷たさと美しさを味わって、炉端や古びた家屋や訛りの強いくぐもった声やの温もりを感じていく時間になる。

見終わってみると、最初の違和感はすっかり消えて、自分がいかに近代空間に慣れて取り込まれているかを実感する。何か懐かしいものを見たような気分になれる、近頃貴重な一本かもしれません。

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「羅小黒戦記」

https://www.netflix.com/title/8142748

映画館で2が公開中なので、予習のつもりでNETFLIXで1を見てみた。

キャラのアクションの緩急とか速さの表現とか、なかなかいい。中国的なファンタジー要素や世界観はお約束だが、日本の作品を見慣れた目には新鮮だ。神と人と悪魔いうのが西洋的な骨格なのに対して、中国のそれは天帝、仙人、人、妖怪というところか。本作は妖怪のかわりに妖精をおいて、彼らと人が共存する世界を描いている。少しジブリ作品を思わせるところもあるけれど、仙界風の描写は独特だ。

たいへん基本に忠実につくりながら、ところどころに笑いやズッコケを入れてほどよい味付けになっている。悪人や死人が出てこないのは子供向け作品として当然だが、そのことが作品を縛っておらず、自然体なところがいい。

欲を言うなら登場キャラクタにもう少しアクの強さがあってもよかったか。ちょっと類型に寄りすぎているかもしれない。

わりといい作品でした。

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「爆弾」

https://wwws.warnerbros.co.jp/bakudan-movie/

この映画のど真ん中で最初から最後まで他を圧する存在感を放っている佐藤二朗がどうして主役としてクレジットのトップを飾らないのか憤りすら覚える^^;

というくらいに、佐藤二朗の怪演に圧倒されます。間違いなく彼が主役ですね。

内容はたいへん濃ゆいです。容疑者のホームレス男が取調室の椅子で、あるときは刑事をおちょくり、あるときは熱弁を振るいながら、我々の社会の現在地をこれでもかというくらいに多面的に皮肉って、人々の虚栄を抉ってきます。

いやー面白かった。主人公が、ホームレスにも関わらず異様に弁が立つのは少し違和感がありますが、まあそれはお話を成立させるのに必要な虚構ということで。

刑事の三者三様の取り組みと勝敗をざっと見てみましょう。
まずベテラン刑事は、現状の秩序を体現する役です。経験の力で善戦はするものの、容疑者のカオスに最後は呑まれて敗北します。
次の切れ者刑事は、容疑者と同じく社会への不満を抱えており、いい勝負を展開しますが、受け身の防御しかできない圧倒的に不利な立場を覆すことはできませんでした。それでも容疑者の去り際に引き分けと言わせる力闘を展開します。
そして最後、取り調べの現場からは離れていた、最初に接触した刑事は、容疑者の答えのない罠に対して一言だけ、「それでも不幸せじゃないんだ」と評価軸をずらした答えを返します。

彼は、被疑者が終始訴えている社会の差別、理不尽、不正義等々について、関係ないと突っぱねているように見えます。もちろん彼は、尊敬する年配の同僚が不祥事から自死を選び、それがこの大事件の原因になったことを知ったうえで、そう言っています。

ここはどう受け止めるか難しいところです。平穏な日常を生きている大多数の我々は、この刑事と同じ立場です。身近に理不尽に晒されている人がいたとしても、それは自分事ではないという一定の無関心があります。誰だって他人よりは自分の生活と家族が大切なのは、誰も否定できません。

容疑者はその点を突いてくるわけですが、観念的に対処しようとしても、最初のベテラン刑事のように敗北するのは目に見えています。もっと根深いところで、我々人間は誰しもそうした矛盾や痛みを抱えながら生きているということを深く理解して飲み込む(あるいは開き直る)度量が求められる、としておきましょうか。

当然ですが、それで課題が解決するわけではありません。本作の最後の爆弾はまだ見つかっていない、というオチは、そのことを暗示しているようです。なかなかニクい締めくくりです。

本作は、本年のトップ5くらいには入ると思います。
原作小説の力なのだろうとは思いますが、こういう作品がときどき出てくるのは嬉しい限りです。

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2025.11.01

「ウィッチャー シーズン4」

https://www.netflix.com/title/80189685

シーズン4前半8エピソード

期待とちょっと違うというか、いまいちだった。まあ、このシリーズはゲームとしては大成功だったそうだけど、思い返すとドラマとしてはいまいちなのだった。ただ、ヘンリー・カヴィルがあまりにもこの役にぴったりだったことと、奇想天外なストーリーに魅了されていたのかもしれない。

ゲラルト役が別の俳優さんに代わって魅力は減った。ただ、このシーズン4は家族愛を描くようだから、それにはこの役者さんが向いているのかもしれない。終始にこやかというか、少しにやけた感じで、ヘンリー・カヴィルなら気難しそうに眉間に皺を寄せて唸り声を上げるところでも、なぜか諦めのよな表情を浮かべてしまうのだ。ゲラルト、弱くなったなという感じ。まあ前シーズンがまさかの完敗で終わったから仕方がないのか。

その代わり、本シーズンではイェネファーが大活躍。自己中女からみんなのリーダーに変身を遂げている。そして女魔法使いを集めてアレツザ魔法学校の再建を始めるところで前半終了。

シリは・・相変わらず下世話な世界を安全に彷徨っているけど、その揺り籠もウイッチャーの賞金稼ぎの手で全滅の憂き目にあって、これから覚醒に向けて試練が始まりそう。

興味はそそられるし続きも見ると思うけれど、これまでほどの魅力があるかどうか、ちょっと保留というところ。

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