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July 2025

2025.07.28

「私たちが光と想うすべて」

https://watahika.com/

日本にも、昭和の後期にこうした光景があったように思う。果てのない物欲を追い求める高揚感と喧騒。それに倦んだ人たちの郊外への脱出願望。産業革命がもたらした光と影。弊害が効能を上回るようになった時期のことだ。

本作を見ると、こうしたプロセスは世界中等しく起きていることのように思える。インドを舞台にしているこの作品は、その風土を反映した画と音になっている。私には少し馴染みにくい。
ひょっとすると映画館の機器の問題かもしれないが、都会の章で画面が暗すぎた気がする。公式サイトの写真はもう少し明るい。

今頃この種の作品が評価されるというのは、老いていく日本にいるとあまりピンとこないが、新興国の今の現実なのかもしれない。

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2025.07.20

「劇場版「鬼滅の刃」無限城編  第一章 猗窩座再来」

https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/

もうね。猗窩座が主役ですよ。その哀しい身の上を聞けばなおさら。
もちろん炭治郎も無我の境地みたいのに開眼するし、痣発現する人もいたけど、それを引き出したのは紛れもなく猗窩座の圧倒的な強さ。
そして、負けを自覚した後の潔くも壮絶な幕引きの仕方。誰しもこの漢、猗窩座に涙するでしょう。

とはいえ、ちょっと引っかかるものもあります。
かなりの部分が登場人物の過去語りで、合間にアクションが挟まるという形式。しかも複数の場所で展開される対決が折り重なっていて、それぞれが異なる身の上話を伴っている。お話を駆動しているのは、ストーリーというよりむしろ彼らの来歴。あっちもこっちも身の上話でまるで人生相談所に迷い込んだような。。
こういう作品を映画と呼ぶべきなのか迷います。もちろん、原作を通して見れば、一大絵巻であるだろうことは想像がつくのですが。。

特に違和感を感じたのは、猗窩座の身の上話の部分。大スクリーンの前の大勢の人々が固唾をのんであれを見守るのはなんだか落ち着かない。感情の深いところを抉ってくるので、大勢がいる場所だと人目が気になって十分楽しめない。ひとりでこっそり小説として読んだりする方が体験としては純粋になるのではないか。

そんな風に思いました。

言うまでもないことですが、作品としての出来は最高です。

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2025.07.14

「ブリック」

https://www.netflix.com/title/81731553

情報が途絶し空間的にも閉じ込められた環境の中で、人々がどう考え行動するか、そのひとつのテストケースのような作品。それに脱出方法の謎解きが加わって、割と面白かった。

最初に登場した主人公夫婦が、共同住宅の隣戸や下階の住人達と出会い、時には協力し、時には反目し合いながら、出口を探して試行錯誤する。基本的にはいい人ばかりだが、中にひとりだけ曲者がいる。陰謀論に毒されていて、人々が脱出できないように、真逆の行動を取るのだ。この人物の気違いじみた行動と相貌がかなり怖い。まるで昨今の世相を映しているかのよう。

ところが、この人物の言っている、あるいは信じ込んでいることの半分は、実は事実だったことが最後にわかる。一遍の真実を含んだ嘘の恐ろしさよ。それが故に、主人公夫婦以外は全滅の憂き目をみるのだ。

ああこわかった。
それだけに、最後に出口が開いて外へ出たときの解放感と、にも拘らず解除されない障害に対する戦慄とか同時に襲ってきて、もうこれは良作と言うしかありません。

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2025.07.13

「スーパーマン」

https://wwws.warnerbros.co.jp/superman/

これは微妙かも。。

カンザスの実家で家の前のベンチに父ちゃんと並んで座ってする話は、じんとくる。この作品のメインテーマだ。そこは凄くよかった。
アクションもいい。お笑い3人組やスーパードッグ君も、賑やかしだけでなく要所々々でキーパーソンになってたし、一番の強敵があれとは虚を突かれた。ジェームズ・ガンの映画作りの引き出しの多さと、それをまとめ上げる上手さが随所に光っている。

でも、ですよ。
話が政治寄りすぎる。本来は複雑なテーマが単純化され過ぎているうえに盛りだくさんで、ついていけない人も出そう。なにより、最終的な悪役をテック富豪にしているのは、少し軸がぶれた感じがある。終段で身なりのいい市井の男に「保守もリベラルもこれでわかったろう」などと露骨に言わせているのを見ると、共通の敵を演出して大多数をひとつにまとめようとしているように見える。でもアメリカの分裂と混乱の本質からは遠ざかった感じ。

作り手はおそらく、そうしたことは百も承知で、エンタメ映画の枠内に諸要素を見事に収めた。私はたいへん満足しました。でも映画として表現してほしい感情の揺さぶりについては、微妙な出来だったと思う。誰一人死なせないスーパーマン映画はどうしてもそうなりがちで、今回もそれを確認できた。

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2025.07.07

「オールドガード2」

https://www.netflix.com/title/81328881

前作の最後に、主人公の盟友である不死者が人間の手で永遠の罰を受ける語りがあって、人間の残虐さには限界がないのかと戦慄した。それが記憶に残っていたので2も見たのだが、案外それについては、わだかまりがあったものの、別の差し迫った脅威の前であっさり和解し、再びコンビを組むようになった。
なので、お話としてはよくある類型に収まって、期待は少々裏切られた感がある。

とはいえ、シャーリーズ・セロンは相変わらず美形で、それだけ見ていてもよい感じ。加えて、敵、というか最初の不死者がユマ・サーマンで、これもキル・ビルを思い出せるようでうれしい。

話が予想とは別の展開になって、2で完結せず3に続くようだけれど、次はまあ時間があれば見るかというくらい。

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2025.07.06

「サンドマン シーズン2」

https://www.netflix.com/browse?jbv=81150303

シーズン2全6話

もちろん、好みで分かれるところがあるだろうけれど、それにしても素晴らしいイマジネーションです。そして予想だにしない奇想天外なストーリー展開。もちろん原作コミックのエッセンスなのだろうけど、こうして映像ドラマで初めて見る者には、至福と言ってよいです。

流行のファンタジー作品では、派手なアクションを賑やかしに入れることで尺を消化し体裁を保っています。それはそれで軽薄なチャンバラビデオゲームで育った世代には向いているのでしょうけれど、本作はそういうことを好みません。

その代わりに、登場人物たちのニュアンスに溢れた対話と、人と永遠とが関わりあう様を見せます。そこには、時間のスケールの違いが生み出す感動と、にも関わらず不滅の人間性とが同時に存在して、しみじみと心を揺さぶります。

前半では、地獄の鍵を巡る争いを通して露になる多様な欲望が描かれます。ドリームは脅しや誘惑に屈することなく、揺るぎない判断を下し、王者としての器を見せます。
それに対して後半は、夫と妻、父と子、それぞれの愛と結末が描かれます。ここではドリームの心は千々に乱れ、取るに足らないはずの人間というものに感化されてきた彼の変化を見て取れます。一本調子で描くのではなく、他の兄弟姉妹たち、ディストラクション、ディリリウム、デスティニー、デス、ディザイア、ディスペアも、それぞれの名にふさわしい関わり方を持たせて物語の幅を広げています。

ロキとの取引という伏線が残ったまま、このシーズンで完結してしまうのが惜しいですが、諸事情あるようで致し方ないのかもしれません。https://dramanavi.net/articles/301207

むしろ、短く完結することで、何かてともいい夢を見せてもらったような印象が長く残ると思います。

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