「我来たり、我見たり、我勝利せり」
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ちょっとぶっ飛び過ぎていて、どう評価したらいいのかわからない。
いわゆる超富裕層で投資の才能は頭抜けているが、行きずりの人間を銃で撃ち殺すという性向がある男がいて、政府も警察も周囲の人間も、彼の社会的地位故に見て見ぬふりをしているという胸糞悪くなるお話だ。
金持ちが一般人を銃で狩る娯楽に興じるというと「ザ・ハント」を思い出すのだが、あちらは一般人の方も米国市民らしく武器を手に反撃し、娯楽気分の金持ち達に死の鉄槌をくれてやる予定調和的な結末で安心できたけれど、本作はそれとは全く違う。
人間狩りを性癖に持つこの男は、では凶悪な雰囲気を漂わせているかというと全く逆で、むしろ家族を大切にする良き家庭人として描かれている。そんなミスマッチがあるものだろうか。
殺害に及ぶときは、毎回証拠隠滅の手筈を整えて実行しているところを見ると、あからさまにやってはまずいことはわかっているようだ。けれどもそれは罪の意識からではなく、単に面倒ごとを引き起こさないための単なる手順、様式に過ぎない。見つからなければ罪ではないという考え方だ。
人は平等であり基本的人権が尊重される社会に暮らしている我々にとっては、全く理解できないけれど、近代以前ではこういう感覚も不思議ではなかったのだろうか。
映画が進むにつれて、こちらの常識の壁が崩されていく感覚があって、その意味では映画らしい映画と言うべきなのだろう。初めは主人公の罪を追求しようと食い下がる記者が、次第に取り込まれて、ある衝撃的な事件の後は忠実な僕に変わってしまう。その様子が、見る側の常識の変容を象徴しているかのようだ。
良識からすれば嫌な映画だと言うべきだが、さてどうだろうと考え込んでしまうような巧妙さがある作品でした。
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