「28年後...」
https://www.28years-later.jp/
前作の「28週後」は、詳細は忘れたけれど、かなり怖い感染ものだったことだけは覚えている。同時に、感染症に対する免疫を持つ子供たちと赤ん坊を救う人間ドラマでもあった。ちなみに1作目の「28日後」はたぶん見ていない。
本作はシリーズ3本目で、前作で封じ込めに失敗した感染症がイギリス全土にひろがり手が付けられなくなった世界のお話。とはいっても、前作のように米軍やNATOが出てきたり、感染症対策の複雑で政治的な動きがあるわけではない。
本作では後半にかけて、感染症の恐怖は背景に後退し、代わって人間の死すべき定めに焦点があたっている。少年は病の母親を連れて危険な大地を横断し、一縷の希望に縋って医師の男に会いに行く。その終着点で見る光景が、圧巻。白昼のカタコンベとでも言うべきこの構築物を、仮に芸術作品として素のままで世に問うたなら、おそらく囂々の非難を浴びることだろう。けれども映画の一つのシーンとして描かれたことで、その意図は誤りなく伝わってくる。これは医師の言う「メメント・モリ」そのものだ。
この林立する骨たちの足元で、医師は少年に、母親の病は末期であることを告げ、人の定めを静かに諭す。そして別れ際に「メメント・アモーレ」と希望の言葉を贈るのだ。この医師役をレイフ・ファインズが務めていて、たいへんよかった。
さて以上が大筋なのだけれど、実はこのほかに、前日譚とそれに呼応する後日譚が付いている。これは本編の滋味深い高尚な空気とまるで違っていて、狂気じみた軽薄な趣だ。変だと思って見ていたけれど、後で検索してみるとこんな情報があった。
https://jp.ign.com/28-years-later/79948/news/28
「現代のイギリスでも屈指の悪名高い人物を思わせる描写が明確に含まれており、観客の間で波紋を広げている」
この辺りは日本人の私にはまったくわからない。これは当然、作り手の真意を含んでいるはずだから、そうすると私はこの映画を半分しか理解できていないことになる。
うーん。複雑な心境になりますね。
続きは次作を見てから、ということで。。。