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2025.04.28

250428箱根行

このところ草津が多かったので、たまには箱根ということで安直に決まった。いままで箱根というと美術館巡りや雄大な富士を見る目的が多かったけど、今回は日帰り温泉が主目的だ。草津ではビジターでも旅館の温泉を利用できたり街のあちこちに勝手に入れる温泉小屋があったりするけれど、そんなところは昔は珍しかったのだ。
ところが、草津に啓蒙されたのか、あるいはGoogleのお陰で日帰り湯を見つけやすくなったのか、両方の効果だと思うけれど、箱根でも日帰り湯を謳うところがずいぶん増えてきたのだ。以前は偶然見つけた日帰り専門の和泉くらいしか知らなくて、箱根は草津より一段下くらいに思っていたのだが、だいぶユーザフレンドリーになってきた。

そういうわけで、前日は修学旅行の準備みたいにわくわくしながら荷造りして早く寝て、朝4時半に目が覚めて、6時には出発したのだった。

3号渋谷線から東名へ。関越に比べて段違いに楽だ。あっという間に小田原東ICに到着。1時間くらいで来てしまう。
それは見越して湯本あたりで喫茶店で朝ご飯のつもりだったのだが、さすがに朝7時ではどこも空いていない。マクドとかファミレスとかが石を投げれば当たるような東京モンは最初に地方のアツい洗礼を受けたのだった。便利に慣れてしまうとだめね。

いったん小田原市街へ戻ってガストでオンライン新聞を読んだりしているうちに10時。まずはGeminiに聞いて目星を付けていた箱根湯寮へ行く。箱根湯本駅の横手からいきなり斜度21%という怖いような上り坂を水冷単気筒のパワーで駆け上がる。気分がいい。
国道1号を見下ろす崖に巧みに配置された和風モダンっぽい施設は洒落ていて気分が上がる。これは気分優先の新興温泉かと思いきや、湯の方も本物で、指のちょっとした怪我が気がつくともう治りかけている。箱根、やはり有数の温泉地だけのことはある。

ここは休憩室も充実していて、昨年・今年と話題の漫画が全巻揃っていたりする。入湯料はやや高めだが、これを全部読んでしまえばおつりがくるくらい。でも漫画を読みに箱根まで来たわけではないので、チェックだけして次へ行くことにする。

古い印象だと、国道1号は酷く渋滞すると思っていたのだが、ターンパイクと箱根新道に分散されたのか、混んではいたが流れはスムーズだった。8割がたが強羅の方へ行くのと別れて、こちらは1号を芦ノ湖畔へ。湖尻のキャンプ場へ。ここを利用するのは3回目か。1回目はたぶん30年くらい前で、今の洒落た施設ができる前だった。涼しさと景色の良さは昔と同じだが、来てみると半分以上が外国人だ。インバウンドってスーツケース転がしながら観光地巡りするとばかり思っていたら、ここの外国人は装備も本格的な登山者の出で立ちで驚いた。変われば変わるものなんだな。

設営の後、昼ご飯を食べに遊覧船乗り場へ行ってみる。ここの飲食店も外国人であふれている。彼らは蕎麦とかウナギの店を好むようなので、比較的すいている丼ものの店でゆったりする。それでも4組の客のうち日本人は私だけ。どうなっているんだ日本は。まあ皆さんお金を落としていってくれるならいいか。

親子丼を食べ終わった頃、仕事のメッセージがいくつか入ってきて、とりあえずパソコンを開いて対応する。そうこうしているうちに15時を回って、仕事は一応ケリがついた。外はいつの間にか雨。レインウエアはリュックに常備しているから、バイクでも特段困らない。とはいえ、あまりあちこち行ってみる気はなくなる。再びGeminiが教えてくれた箱根日帰り湯のGoogleMapsを眺めていて、秀明館というのが気になる。近いし、今日の仕上げはここにしよう。

で、これが大当たりだった。何も知らずに行ったのだが、ここは石鹸シャンプーお断りの本物の湯治場。客はあくまでも静かに湯治客として抑制のきいた立ち居振る舞いが求められる。なかなかよい雰囲気だ。
湯船がまたすごい。岩盤の下から湧き出てくる湯は、岩で固めた前室にいったん溜められて、そこから二つの浴槽に導かれる。この前室にはしめ縄が張られていて、厳かな神域の風情。

私はいつも烏の行水なのだが、ここの雰囲気に呑まれてつい小一時間、湯につかったり出たりして過ごしてしまった。他の客もじっと黙って虚空を睨んでいるようなのばかりで、おしゃべりとかしたら睨まれそうだ。ここまでやるか。素晴らしい。また来よう。

以前は宿泊も受けていたのだが、いまは17時までの滞在だけということで、今日は私が最後の客だったようだ。

降り続く雨の中、バイクを走らせてキャンプ場へ戻る。
戻ってみると、久しぶりに引っ張り出したテントの防水性能がだいぶ劣化していたようで前室に雨の滴がぽたぽたと落ちてくる。えらいこっちゃ。ということで、床から沁みてくる雨水と標高900Mの寒さとで、あまり眠れない夜を過ごした。

 

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