「ナタ 魔童の大暴れ」
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ボリューム満点のアクション超大作。にも関わらず緻密さも感じさせるストーリー展開。愛すべきキャラクターたちそれぞれの見せ場もたっぷりあって、2時間半に無理なく自然に収まって時間を忘れさせる完成度の高さ。定番とはいえ、うまいすごいと言うしかありません。
興行収入も凄いことになっているそうで、人口の多い国で大ヒットすれば自ずとそうなるのかもしれませんが、日本で話題になっていないのが不思議です。
さて本来、哪吒といえば、乱暴を責めに来た東海龍王の息子を殺して背筋を抜いたり、遊び半分で石磯娘娘を殺したり、その罪の償いに自分の肉と骨を切り刻んで魂だけになったあげく父親を逆恨みしていたりと無軌道な暴れん坊ですが、本作ではそれらエピソードを換骨奪胎して、現代にフィットするわかりやすい構図に置き換えている感があります。
なにしろ、敖丙とは無二の親友ということになっていて、二人の堅い友情が本作の物語の中心になっているのですから、元々の哪吒の凄惨さは全くありません。大ヒットの理由はそのあたりにもあるのかもしれませんね。
とはいえ、反抗的な若者像としてのナタは健在で、表向き長幼の序を尊重しているはずの中国の人たちもこういう話は好きなんだなというのがわかってよかったです。
ちょっと蛇足を言うと、この種の大衆向け娯楽の質と量は、国力のバロメータでもあると思うので、中国はいまや文句なく世界の大国になっているのだということは実感しました。
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