「けものがいる」
https://kemonogairu.com/
初めの方で少し寝てしまったので、最後までいまいちよくわからなかった。時代を超えて同じ男女の魂が何度も惹かれ合うもひとつになれず、それは外部環境のせいではなくて、彼と彼女の内面の問題ー恐怖ー故なのだ、というようなお話らしい。一方がその気になってももう一方が拒否してしまうすれ違いが幾度も繰り返されて、少し飽きる。それでも最後に、とうとう二人の気持ちが同時に高揚して、やっと結ばれるのかやれやれと思ったら、そういう結末かい。おフランスの作品らしくひねくれてますね。でもこのときのレア・セドゥ渾身の引き歪んだ顔などは一見の価値ありでしょうか。
そう。私としてはセドゥの百面相が本作では一番面白かった。時代がかった時代にはそれにあった大袈裟な表情、感情が薄くなった科学の時代には、淡白な表情、その中間くらいの時代には中庸な表情、それぞれの強度にあわせた喜怒哀楽の表情が千変万化でめまぐるしいです。その中で、人形は多く売るために無表情に作っているという問答のあと、彼女が実際にその無表情をすっと実演してしばらく静止するところなどは、目まぐるしい表情の変化の中に異空間を作り出しているようで、ぞくぞくしました。ここは凄いです。
人の感情を有害なものと考え、これを浄化しようとする未来世界というのが設定らしいので、この静止した顔と、先に触れた結末の引き歪んだ顔との対比こそが、おそらく本作の肝なのでしょう。私にはそんな風に見えました。
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「新世紀ロマンティクス」(2025.05.12)
- 「SISU/シス 不死身の男」(2025.05.04)
- 「サンダーボルツ」(2025.05.03)
- 「けものがいる」(2025.04.27)
- 「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(2025.04.21)