「レイブンズ」
https://www.ravens-movie.com/
いいよなーこれ。
芸術家の狂気みたいなものと、昭和という時代の光と影とがシンクロしてて。こういうの、今の時代には無いでしょ。なんかこう醒めて理屈っぽくてお高く止まっている感じなんだよね今の時代は。血と肉がたぎって屈折していた戦後昭和にはそれがあった。すべての日本人にそういう血が流れていた。この伝説の写真家が写し取ったのはそれだったのじゃないか。
映画作品としては、ミーイズムに焦点が当たっていたようにも見える。洋子は「あなたが見ているのはあなただけ」ということを二度言う。一度はまだ二人が一緒に生活していたとき。もう一度はずっと時間が経って洋子が別の男の妻になり元彼の個展を見に来たとき。
この映画はいろいろなものを映し出していて滋味があるけれど、この自己中心主義を一番際立たせたかったのじゃないか。
芸術家の生涯を描く知的でスノッブな映画作品は多いけれど、本作はそれらとはまったく違う。お世辞にも上品とは言えない、父親と妻と2つの異なるストレスに晒されて咆哮する写真家の自画像、という感じだった。
浅野忠信も瀧内公美もすばらしい。
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「新世紀ロマンティクス」(2025.05.12)
- 「SISU/シス 不死身の男」(2025.05.04)
- 「サンダーボルツ」(2025.05.03)
- 「けものがいる」(2025.04.27)
- 「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(2025.04.21)