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2024.10.05

「シビル・ウォー アメリカ最後の日」

https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/

社会が崩壊したときのアメリカを映すロードムービーというと、思い出すのは「すべての終わり」だが、あれに比べると本作は、要点だけをピンポイントで浮き彫りにした感がある。また、ロードムービーには目的地があり、そこで物語の総括が示されるものだが、本作の総括は少し予想と違っていた。

始まりは街中の突然の爆弾テロだ。ここを起点に旅が始まり、途中いくつもの小さな章に区切られてお話は進む。

米国が海外で行っている軍事行動と同じことが、米国民自身の上に降り掛かったときの悲惨さ、敵の正体もわからず戦略も目標もない中で、銃を構えた敵意に対峙した兵士のシンプルな行動原理、面倒ごとからは距離を置こうという市民の表面的な無関心と周到な自衛意識、そして予告編にもあった、分断を象徴するような「お前はどの種類のアメリカ人だ」の衝撃的な台詞。それを口にする人々の崩壊した倫理観と幼児性。いずれもアメリカの今をデフォルメして映しているのだろうか。

旅の終わりはホワイトハウスへの突入で締めくくられる。ここで表されるのは、アメリカ云々ではない。そこで映し出されたのは、ジャーナリズムの非情さ、あるいはプロフェッショナリズムだ。それに従事する者の野生の輝きも少し入っていて、人によっては嫌悪感を覚えるかもしれない。
この締めは意外だったけれど、案外これが今のアメリカに最も欠けているものなのかもしれない。

話の要点が明解でテンポよく進む小品という趣の作品でした。
銃撃の重量感ある金属音がリアルなのがポイント高い。

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