「レベル・リッジ」
https://www.netflix.com/title/81157729
犯罪ものの映画はかなり食傷気味で、本作も初めはああまたかと思っていたのだが、見ているうちに引き込まれた。大袈裟なカーアクションやガンファイトに粗暴な台詞というのがこのカテゴリの定番だが、本作にはそういうものはない。だから却って映画という虚構の中にリアリティが滲み出ている。
アメリカ人は警察をあまり信頼していないという話をときどき聞く。本当かどうかは知らないが、この映画はその不信感の土壌を抉り出しているような作品だ。
舞台となる片田舎の町は警察に牛耳られている。裁判所の判事もグルで誰もこの状況を変えられない。変えようという気持ちはあっても、個々の弱い立場で生活を人質に取られていれば、誰もが俯いてただ不正をやり過ごすか、消極的に加担するしかない。そういう構造的な腐敗は、村社会にはよくあることなのだろう。
日本であれば因習に根差した怪談のように語られるところ、米国では悪徳警察署長が私腹を肥やす話になる。その動機も、上からの予算が降りてこないから自前で資金を調達するために法律に則って罰金徴収を強化するなどになる。最近中国でそうした動きが顕著だというニュースを見たばかりで、ひどくリアルに感じられた。
単に罰金徴収が厳しいだけなら仕方がないとも思えるが、本作で描かれる警察署長は、そのために記録の改竄、録画の停止、判事の抱き込みなど悪辣な手法を使う。はじめは法規の範囲内だと耐えていた被害者も、次第にエスカレートする狡猾な嫌がらせに対応のボルテージを上げざるを得なくなる。その過程がもどかしくもあるけれどリアルでじわじわくる。
この勝ち目の薄い戦いが最後にどういう結末を迎えるか。それは見てのお楽しみ。普段は目にも入らないごく平凡な大勢の正義感がいかに大切か、よくわかる終わり方でした。
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