「モノノ怪」
https://www.mononoke-movie.com/
この色使いやトーンがいい。予告編で見たときは、どこかとっておきの場面だけのことかと思ったら、なんと最初から最後までこれで埋め尽くされてる。エンドクレジットもこれ。すごい。
お話は、権力機構というものがそれに従事する人々をどう変えてしまうか、それに適応しようとしない個人をどう壊すか、みたいなことで、割とありがちだけど、回りくどくなくストレートに表現していていい。
何か臭いにおいのする水を毎朝の儀式で全員がありがたがりながら飲み干すことでそれを表していて、その臭みの表現がまたいい。良い匂いを表すはじけるような綺麗な表現と対を成して、腐臭の陰湿さを際立たせている。
居並ぶ組織人たちの顔をああいう風に表現しているのも秀逸。実際にこんな感じなのを見たことがあって、すごくリアルだと思った。
大きなイベントー例えばオリンピックなどーの陰で自殺者が出るニュースを目にするたびに、なぜ彼らは事実を公表せずに自死を選ぶのか不思議に思っていたけれど、この作品はその空気と論理を掴んで見せてくれていると思う。
結構な異色作。