「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」
https://gaga.ne.jp/stopmakingsense/
音楽のことはまったく知らないけど、まあ元気をもらいましたと言いたくなるエネルギッシュなステージ(の記録)でした。
リズムはわりと同じような曲が多いのかな。。
https://gaga.ne.jp/stopmakingsense/
音楽のことはまったく知らないけど、まあ元気をもらいましたと言いたくなるエネルギッシュなステージ(の記録)でした。
リズムはわりと同じような曲が多いのかな。。
https://gaga.ne.jp/anatomy/
法廷劇というのは、物的証拠が乏しい中で状況から様々な推理が成立するときに面白くなるのだろう。本作も十分な証拠は無い中で、容疑者と関係者の心理を推し量る体をとりながら、そこで浮き彫りになる夫婦の問題や人の尊厳の問題がテーマになる。
容疑者の心の闇をいやらしく暴き立てようとする検察側と、人の尊厳を真摯に語ろうとする弁護側の間で、見ている側の心証が右に左に揺れ動くところがこの種のドラマの醍醐味だ。
本作はそうした定番の軌道を辿っていくのだが、最後の決定的な証言が、この夫婦の盲目の子が語る、日常に埋没していたエピソードだというのが感慨深い。人の本心はそういうところで現れるものだということに、そして犠牲者自身が自分の結末を予見していただろうことに、この劇に登場するすべての人々と観客である我々とが等しく共感し涙する。見事な落とし方と言うほかない。
傑出した才能をそれぞれに持つ夫婦の、一方だけが社会的な成功を収めた果ての悲劇に、複雑な思いを残して劇は幕を閉じる。
味わい深い良い作品でした。
https://happinet-phantom.com/beau/
ゲロい映像の見本市のような作品。これにどういう価値があるのか私にはよくわかりませんでした。おまけに長い。
たしかに、過干渉の母親の束縛から逃れられないまま初老を迎えてしまった男の悲劇はあると思うけれど、それを表現する方法はほかにもありそうなものです。あえてこういう支離滅裂な表現を採用するのは、この監督の特性なのでしょうか。
ヘレディタリーとミッドサマーは、それでもカルト映画という理解の仕方があったけれど、この作品はもうあかん。という感じです。
実はこの構造は「君たちはどう生きるか」と同じに見えます。そう言うと怒る人多いと思うけど。
個性的な作家なので、何を見せてくれるのかという興味で見ましたが、私には消化できませんでした。たぶん次はもう見ないと思います。
https://eiga.com/movie/29321/
理不尽で過酷な現実に対抗するために、幼い少女はファンタジーの世界を構築してそこへ逃れるという趣。「パンズ・ラビリンス」と通じるところがあります。
そして、本作の方がよりシンプルで親しみやすい。なにより、主人公の可愛らしさ、その瞳のひたむきさに打たれます。大人たちや世の中の善も悪も見極めようとするような眼差しに、少し畏怖を感じるくらい。
この一途な感じの少女がどういう大人になるのか考えるのも憚られるほどに純真さがあって、ただ見つめていることしかできません。
https://gaga.ne.jp/close-your-eyes/
長い。少々寝不足だったこともあって、ところどころ寝てしまった。
それでも、これが記憶と魂との別を描こうとしているらしいことはわかった。
じっくりした話の展開で、それも長いと感じる理由なのだが、たぶんこの空気感を掴めないと味わえない類の作品なのだろう。私にはちょっと難しかったです。
ただ、フィルム映画に対する作り手の愛はよく伝わってきた。そこはよかった。
www.netflix.com/title/81144203
良い意味で期待を裏切られた力作。絵の緻密さ、動きの切れ、人物の微妙な表情の変化、そして物語の展開と登場人物の心情の変化、どれをとっても素晴らしい。
NETFLIXのお薦めでしきりに出てきた時期に、ちょうど鬼武者など同じジャンルで知名度のある作品とぶつかったのはやや不運だったが、結局両方見た目から言うと、本作の方がエンタテイメントとして数段上だ。鬼武者は子供向けの趣だが、本作には、子どもには見せられない表現の深みが備わっている。
それは、主要な登場人物の愛憎の移り変わりであったり、野望の芽生えであったり、支配の論理であったりするのだが、どれも奥行きがあってよい。
中でも私が気に入ったのは、置屋の女将が諭す抵抗の哲学と、それを語るときの微妙な表情の変化をあますところなく表現するアニメーションだ。ディテールに神が宿っている。
ほかにもたくさんあるのだが、もうひとつだけ挙げるとすれば、主人公が剣父と仰ぐ盲目の刀匠だ。彼が語る話は一見ありがちに見える内容なのだが、よく耳を澄ますと、物語が進むにつれて深みを増していくように聞こえる。
愛憎の変遷というと、幼少期からの因縁のある二人の絡みに加えて、主人公が敵と狙う渡来人との最後の闘いの展開が興味深い。勝敗が見えたかに思えたその瞬間、相手が出してくる奥の手に主人公が乗る形で、決着は持ち越され、ある種の協定が成立したようにすら見える。こういう面白さは、大衆向けに子供にもわかりやすくつくられた作品には決して見られないものだ。
たいへん満足度の高い作品でした。もし続編を出してもらえるなら、今度は迷わずいの一番に見たい。
https://klockworx-v.com/vesper/
有機的な造形にぐっとくるファンタスティックな作品。それだけ見ていても楽しい。
ストーリーはやや平凡なきらいはある。一握りの富裕層が閉じこもる都市と、遺伝子操作され一度しか作付けできない種もみに縋って、破壊された生態系の中でかろうじて生きているその他大勢の貧民たち。そこに都市の飛行体が墜落し、生き残りの一人が波紋を起こす。その一人が世界を変える鍵だとわかり貧民の間で争いが起きる。都市からの追跡も重なって三つ巴の戦い。その帰結は如何に。話の骨組みはどこにでもありそうな既製品だ。
けれども本作の良さは、微妙にステレオタイプからずれた登場人物の造形にあるだろうか。中でも主人公の叔父は複雑だ。
彼は貧民の中で一応のリーダーではある。子どもたちの血液を採って都市と交易し種もみを得ている。それはこの過酷な環境の中で生き続けるために彼が編み出したひとつの方法論だろう。だが、それを維持するために冷酷な一面をも持たざるを得ない。集団が生き延びるためには、一部の代償が必要なのだ。
そこまでなら彼も、冷徹ではあるが悪ではない存在だったのだろう。状況を一変させる意味を持ったものが落ちてきたときに、彼の中の強い支配欲が目を覚ます。自分がこの状況をコントロールすべきで、他者に渡すわけにはいかない。そういう意識が彼の行動を決めていく。
子どもながら聡明で技術にも明るい主人公は、そんな叔父に本能的に反発している。人は他者への配慮を持ちつつ、自由であるべきだと、そういう行動様式を示している。寝たきりの父とのやりとりに、そのことがよく表れている。
都市からの圧倒的な暴力の前に叔父が滅びる中、逃れた主人公が最後に行き着いた地で、新たな種もみを蒔く姿は感動的だ。生きとし生けるものはそうあらねばならないと言っているかのようだ。
ところで、遺伝子操作で発芽抑制する技術は、モンサントなど数社が持っていて、いまは世界的な批判に直面して商品化を凍結しているそうだけれど、もしああいうものが解禁されると、本作のような状況が現実になったりするんでしょうかね。ちょっと心配になったりします。
https://www.netflix.com/title/81030568
NETFLIXで
死の瞬間に人は走馬灯のように己の一生のハイライトを思い出すそうだけれど、この作品はそんな感じで、本来死ぬべき魂に、もう一度生きられるチャンスをかけた選抜を受けさせるという、少々人を愚弄するような設定が面白い。もちろん作っている方はいたって真面目なのだろうけれど。
残るべき魂を選ぶ選定人が、どうにも暗い生気のない男で、彼がそうである理由は後で少し明かされるのだけれど、はっきりとは示されず、それがために最後の爆発的な感情の発露が少し唐突で消化不良な感じになってしまっている。
とはいえ、集まった魂にいろいろあって、1人を除けば皆、自分が生き残ることに懸命なのがいじましい。そしてその1人は、自分のことよりも選定人のことを案じて、彼が生き生きとした気持ちを取り戻すことを一番に願っているのが素晴らしい。それほどまでに利他的な精神というものがあるものなのだ。ということを納得させてくれるのが本作の価値に見える。
ちょっと清々しい気持ちになりました。