「悪魔はいつもそこに」
https://www.netflix.com/jp/title/81028870
NETFLIXで
エクソシストがちっとも悪魔じゃなかったので、ちょっと悪魔を見たいなと思って以前から気になっていた本作を見てみた。
悪魔が人の姿を借りてよろしくない行いをするのを悪と呼ぶとすれば、確かに本作はそこかしこに悪魔がいたと言っていい。ホラーにする必要もなく、おどろおどろしい脅しも特撮も必要ない。ただ、淡々と悪が描かれている。そしてそれに抗うひとりの青年。
現世的には、悪を滅ぼすことはその悪を纏った人間を傷つけることになるから、法的には彼は罪人だが、もちろん感覚的にはそんなことはない。やむにやまれずというよくある話。だがそこに湿っぽさは皆無だ。
このざらついた感触はなかなかいい。悪に近付かないよう、運命を狂わされないように気を付けたいものだが、実際にはそうもいかないとき、こういう乾いた感触を思い出してみるのは、悪を遠ざけるためにもいいことなのだろう。やつらの方は厚顔無恥だから押し込まれないように強面を装う必要はある。
まだ若いけれど名優と言っていいトム・ホランドが、そういう青年の乾いた悲しみを過不足なく演じていてよかったです。