「ファースト・カウ」
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資本主義のお話に見えました。
本作に登場する牛は、もちろん資本のことでしょう。
主人公の二人はそれぞれ、経営者と技術者です。この2者が協力してこそ事業というものは創造され推進される。そういう風なことが描かれています。
残念ながら、彼らのスタートがあまりに貧しく、元手となる資本を盗みによって手に入れる誘惑に勝てなかったことで、正道を歩くことはできませんでした。
しかしそうはいっても、最初の投資という冒険と、成果物を世に問うときの期待と不安、実際に評価されたときの充実感と喜び、にも関わらず後ろめたさによる拭えない不安、より大きな商機に対する警戒感と焦り、いろいろな要素が寓話的に詰め込まれていて、たいへん面白かったです。
最後に、経営者の彼が、大怪我をした技術者の男を見限って一人で逃げることもできたはずなのに、そうはせず、俺が付いているから大丈夫と言って共に眠りに落ちるのが、経営者のありようとして様々な想念を呼び起こします。なかなかの良作でした。