「エクソシスト 信じる者」
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選択の重み、という趣の作品。宣伝では恐怖とわかりやすく言っていて、確かに受け狙いで怖がらせる意図はあるものの、それが本旨ではない。お陰で作品としては単なる恐怖映画の卑俗を脱して、より深遠なものを描き出せている。
人の限りある能力で未来を見通すことなどできない中で、それでも日々行動を選択していかなければならない。それが人の生き死にに関わるようなことであってもだ。
選択の結果が思い通りにならないどころか、想定と逆方向に物事が進んでしまったとしても、それは運命というものだ。ただ受け入れて無言でそれを見つめながら生きていくのが人という生き物だろう。本作はそんな風なことを言っているように見える。修羅場の最後で、主人公のアフリカ系の父が黙って隣人の家族を食い入るように見つめている姿が圧巻でした。
まあたいした選択もせず日々ぐうたら生きている私としては、あの誰もが知る美しくもおそろしい主旋律をもっとたくさん聞きたかったです。高校の体育祭であの旋律に合わせてよくわからん現代的な振り付けのダンスをやらされた男子生徒としては、懐かしさもひとしおでした。