「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
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水木しげるの作品は独特の感性で満たされている。本作でもそれをたっぷり味わえる。
作家の原体験からくるのだろうか。押し付けられた権威とか大儀とかを絶対に信用しない。見ている我々一般大衆はそこに共鳴する。実際、そうしたものはろくでもないものだと大多数が経験的に知っているからだろう。
その上で、しかし大儀というものを否定しない。むしろ、個々人が自ら犠牲を払って示すそれには最大限の敬意を払う。そして払われる代償を前にした深い悲しみを描き出す。
まあ、そういったところだろうか。
うろ覚えだが原作漫画では、人間というものをもう少し絶望的に救いがたいものとして身も蓋もない描き方をしていたように思うけれど、令和の世の一般向け作品として、多少の希望は持たせた結末にしているようだ。なにせ猫娘があんなすらりとした美人なんですから、その空気に合わせないわけにいきませんよね。
もともとの猫娘を知る身としてはここで卑屈に含み笑いをして背中を見せるわけです。