「THE KILLER」
https://www.netflix.com/title/80234448
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暗殺者というと、007の影響なのか、かっこいいものという先入観がある。しかし本作の暗殺者は、あまりかっこよくはない。なにしろ冒頭で仕事に失敗してしまい、その後始末に隠れ家の妻が暴行され、その復讐をひとつひとつやっていくという身も蓋もないお話だ。途中、同じエキスパートに格闘でがつんがつんにやられて負けそうになったりもする。そもそも狙撃や毒殺爆殺を旨とする接敵能力に優れているタイプで、近接戦闘はあまり強くないのだ。そう聞けば、派手さのない、つまりはかっこよくはないということがわかるだろう。
しかしその方法論には頷かせるものがある。計画は綿密に。予定通りに。アドリブはしない。ああいった仕事が本当にあるとしたら、まあそうなんだろうと思わせる。
とはいえ、正直なところこの映画のどこを評価すればいいのか戸惑う。プロの仕事の確実さ? 敵の社会的影響力の度合いに応じた自制? まあそういうところを見るべきなのだろう。
「エイリアン3」「セブン」「ファイト・クラブ」「ゴーン・ガール」などのエッジの効いたフィンチャー作品に比べて、ちょっと見るべきところを見つけられなかったもどかしさが残る作品ではありました。
ただ、復讐対象のエキスパートをティルダ・スウィントンが演じていたところはよかった。そこだけスクリーンの色合いが違うような感じがするくらい。名優というのはああいうものなんだろうか。
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