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2023.09.24

「ジョン・ウィック:コンセクエンス」

http://johnwick.jp/
 
いや本当に3時間ぶっ通しのアクションだったらちょっと辛いなと思ったら、案外静かな幕間もあって、登場人物たちの心の中をちら見せしてていいんじゃないでしょうか。
 
そうはいってもやっぱりアクションてんこ盛りで大盛り上がりです。最初の舞台となる大阪で、コンチネンタルの主が「できるだけたくさん殺してってくれ」と笑い混じりに言うところが、お祭り開始の合図です。この台詞のお祭り気分な空気を、真田広之はすごく上手く発声して表現してくれました。こういうディテールに神は宿りますね。
 
そこからはもう殺して殺して殺して殺して殺して殺しまくる爽快な展開。
 
二つ目の舞台ベルリンでは、クラブの太っちょオーナーが殺しても殺しても殺しても殺しても死なないやつで、強烈な印象を与えます。まあ最後はやられちゃうんだけど。これを演じているスコット・アドキンスさん、検索すると普段は均整の取れた筋肉隆々のスタントマンなのに本作でのデブつよ汗っかきの怪演は記憶に残りますね。北斗の拳のハート様みたいな。こういうのをまた見たいです。
 
そして三つ目のパリ。最後の大舞台にふさわしい狂乱です。車と人が乱舞するこんなアクションは見たことがありません。特殊な銃弾を使った派手な銃撃戦も惜しげもなく展開されてそれを俯瞰して見せるのも新しい。すごいです。
それにしてもスタントはたいへんだったろうな。
 
そして最後は、敵にすら敬意を抱かせる主人公の人徳?がじんわりくる階段の攻防で悪役集団の番頭を倒して決着の舞台に到着。古風な決闘で締めくくり。どう収めるのかと思ったらたいへん満足のいく終わり方で溜飲を下げてくれます。
 
派手に畳みかけてくるアクションの陰で、結構ドラマもあったのがまたよいです。トラッカーという一風変わったキャラクタが隠し味としてよく効いています。彼のエピソードを挿入したことで、主席連合というものがどのように成立しているのか、その原理を垣間見ることができました。シマズやケインのような友ではなく客観的な第三者の視点から主人公の人となりを浮き上がらせるのに一役買っています。そしてなにより、シマズやケインのようないわゆる陳腐な役回りとは異なるものを使って、物語に厚味を持たせることに成功しています。
 
というわけで、たいへん満足のいく仕上がりでした。
 
そうそう、最後に侯爵が余計な行動をとらなければ、という思いが頭をかすめたのは否定しません。彼は決闘の前日に、ジョンウィックは撃たないだろうと言って彼の人がましい弱点を見抜いていたわけですから。せっかく透徹した眼力を持ちながら、最後に傲慢さを抑えきれずに身を滅ぼしたのは、これも彼の宿命とでも言えばいいのでしょうか。
 
かくして、それぞれが相応の報いを受けて、壮絶なシリーズは終幕となりました。面白かったですねえ。
 
それで、この終わり方ですが、キアヌ・リーブスという俳優の過去の悲劇を知ると更に味わいが深くなること請け合いです。現実と虚構、二重のドラマになっていますね。

 

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