「ロスト・キング 500年越しの運命」
https://www.netflix.com/title/81227574
シーズン3全19話。NETFLIXで。
前シリーズでは、天山の武器4つを首尾よく集め、それを破壊すべくイングランドへの航海に乗り出したのだった。本シリーズはその続き。途中少し寄り道はあったものの目的地に到着して、イタチの魔法使いとの闘いかと思いきや、想像もしなかった意外な敵が折り重なるように現れてまたしても大冒険。全19話という長さが全く退屈せずに見られる盛りだくさんなエンタテイメントです。素晴らしい。
この「竜の戦士たち」は中国から飛び出して世界中を旅する設定で、ストーリーがダイナミックで面白い。異国の地で仲間になったキャラクタも特徴的で、彼らの背景描写であるサブストーリーもそれぞれ面白く話に広がりがある。それでいて、ポーとルテーラの名コンビが話の主軸をしっかり押さえていて散漫にはなっていない。
このルテーラの存在が本シーズンの最大の成功要因だと思います。
加えて鍵になるアイテムが巻物とかではなく魔法の武器なので、それを使ったバトルシーンも超派手で見応えがある。私はやっぱりガントレットが一番好きかな。次がヘルム。
というわけで、すごく楽しめます。まあ、私の精神年齢にちょうど合っているということかもしれませんが。
次のシーズン4はなんと、ポーが大都会に出てくる設定らしくて、またまた期待が持てます。末永く続いてほしいですね。
https://www.netflix.com/title/80217863
NETFLIX 全8話
原作漫画やアニメは見たことがない。映画版を1本だけ見たけれど、あまりにお子様向けの展開であまり面白いとは思わなかった。
ところがところが。本作はかなりの力作だ。
無理が無く、筋が良く、心の琴線に触れるところがある。
アニメのハリウッド実写化は失敗が多いようだけれど、この作品にはそれには当たらない。それどころか、出来の悪いテレビドラマに比べて、はるかに優れていて面白い。
うまくいった理由は、端的にここに書かれているのでご覧あれ。
https://jp.ign.com/one-piece-live-action/70224/news/netflixone-piecesbs
ともあれ、これでハリウッド実写化のコツが作り手たちに広く共有されて、日本の漫画・アニメコンテンツが世界に進出して行ってくれることを祈らずにはおれませんわ。
https://asteroidcity-movie.com/
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」が、アメリカから見た憧れのヨーロッパって実はこんな感じ、という作品だったとすれば、本作は、そこに住んでいる目から見るとアメリカっていまこんな感じ、という作品なのではないかと思いました。
「フレンチ・ディスパッチ~」が、雑誌という媒体にヨーロッパの断片を切り取って張り付けた形式を取っていたのに対して、本作は、演劇という媒体を使った米国のコラージュの形式を取っています。
米国のイメージとして他国の我々にもお馴染みの様々なイメージ、砂漠とサボテンの西部、資源を運ぶ長大な列車、農業大国と自動車王国と核ミサイルの同居、UFO、ショービジネス、福音派とキリストを信じない子どもたち、小数の科学の天才たちが牽引するフロンティア、警察と犯罪者のカーチェイス、などなどなどが戯画化され、演劇のひと場として詰め込まれています。その裏側では、劇作家と主役俳優を取り巻く人間模様がモノクロで挟み込まれて行きます。
この2本立ての進行は交わらずに続いていくのですが、最後に、劇中劇の主人公がセットから抜け出して脚本家に抗議にいくことでその境界が破られます。主演俳優は、自分が演じているものの意味がわからないと言い、劇作家は、それでいい、あなたは正しく演じていると答えます。そして主演俳優は、息抜きに出たバルコニーで、劇中には出番のなかった彼の妻役の俳優と出会い、言葉を交わします。
この場面には生身の人間の実感が籠っており、本作の他の部分が生の感情を出さない蝋人形のような体裁をとっていることと、鮮やかな対比を成していて、奇妙な感慨を呼び起こします。おそらく本作は、この場面を際立たせるために、ここまで手の込んだ機械仕掛けのドタバタを延々と見せてきたのではないか。ではこの場面が意味するものは何でしょうか。
妻の死。その悲しみが本作には随所に埋め込まれています。故意に無表情な描き方をしているので気づきにくいけれど、そこには深い悲しみがあるはずです。それが最後のこの場面で突然浮上して、観る者の心を揺さぶるようにも見えます。
あるいは、人の目に触れずに役割を果たして報われることなく消えていったものへの哀愁もあるかもしれません。直接的な受け止め方ですが。
更には、歴史の転換点に立っているアメリカは、この先どうなっていくのだろうかという不安もありそうだといったら、さすがに穿ち過ぎでしょうか。米国社会のコラージュを使っているので、そう読み取れなくもない気もします。
いずれにせよ、この最後のパートで、見る側は、何重にも折り重なったイメージが同時に着床する不思議な気分に囚われます。そして、エンディングの歌がまた意味深です。
"You Can't Wake Up If You Don't Fall Asleep"
歌詞はこのサイトにありました。
https://www.azlyrics.com/lyrics/jarviscocker/youcantwakeupifyoudontfallasleep.html
目覚めるために、まず眠れ。とでも訳しますか。
伸びんとすればまず縮めという諺を思い出してしまいます。
どう受け止めるかは人それぞれだと思います。