「探偵マーロウ」
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リーアム・ニーソンは庶民派いけおじを演じる俳優として確固たる地位を築いていると思うけど、このところ娘の危機が行動の動機になっている作品ばかりであまり見る気がしなかった。
それを見透かすかのように本作は、一匹狼でストイックな本来のいけおじの役を振ってきた。見ないわけにはいかない。
出来は・・まあまあでしょか。
少し時代掛かった物言いが多くて、おまけに耳が悪くなったせいか台詞が聞き取りにくい。飲み物のブランドとかのつまらない拘りを教養と勘違いしていた時代のずれ感もある。粋な科白も時代を経るとまだるっこしく感じられる。前半で投入される要素が多すぎかつ背景が見えにく過ぎて閉口する。だめなところを挙げれば結構ある。
けれども、ポリコレまみれの今の時代にはない、善悪の微妙な判断基準がある。それが本作のような古い時代を描く作品の良さだろう。
悪を成敗する者は同様に悪に手を染めなければならない。そこをどう捌くか。形式的には同じ悪であっても、その動機、あるいは、悪を行う者の人間的魅力。そうしたものが判断の基準にある。
膿は出したという彼女の悪事を誰が裁けるというのか。主人公もその機微はよくわかっていて目をつぶった上で、仲間への誘いは丁重に断る矜持がある。渋いです。
年月を経ても人気が衰えない理由はそのあたりにありそうな、年代物の作品でした。