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2023.04.02

「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」

https://dd-movie.jp/

TTRPGは知り合いがよく主催していたので、参加する機会はあったもののあまり遊ばなかった。どうも展開の緩さがしっくりこなかったのだ。まあ友達が集まって無駄話をしながら時間をつぶすという感じのものだったので、私には向いていなかったかもしれない。

しかしこの映画は文句なく面白い。展開のリズムはノリがいいし、エピソードも豊富でそれぞれに物語の筋に寄与する何かがあるし、アイテムやモンスターはお馴染みのが具現化しているし、魔法の視覚効果もナイスだし、パーティの面々の成長もあるし、そして基底には物事を楽観視するコミカルな空気が流れているしで、いうことなし。

特によく出来ていたのが、ここそこの杖という短距離テレポートのアイテムの使われ方。

これは本筋と直接関係ないイベントで入手するので、最初はそこを通り過ぎてしまって、計画がにっちもさっちもいかなくなって仕方なく訪れたら偶然手に入る。でも運び手は効能に気付かず、思い出の品ではあるが単なるお荷物程度にしか思っていなかったところが、旅の仲間と合流してダンジョン攻略に出掛けた先で運悪く進退窮まったときに、別の仲間の知識からその使い方がわかる。この偶然が幾重にも重なって威力を発見されるという経緯にまずぐっとくる。RPG的面白さの真髄と言ったら言い過ぎだろうか。

しかもこのアイテム、いったん威力が知れたあとは縦横無尽に使われる。危険な場所から逃げるため、あるいは封印された場所へ忍び込むため、そして最後は、物語の締めくくり、主人公の誓いの成就、悪役への懲らしめをコミカルに描いた最高の場面でその機能を遺憾なく発揮する。これは見てのお楽しみです。

ゼラチナスキューブやミミックは出たな!て感じで登場するし、クァールみたいなクロネコはいるし、太ったドラゴンは笑えるけど笑っていると食われるし、悪の魔法使いは強力過ぎて歯が立たないのを絶妙で意外な連携プレイで仕留めるし、それももとは敵方のアイテムを逆手に取るしで、諸々の要素がしっかり噛み合って、ほんとに文句のつけようのない痛快娯楽大作に仕上がっている。他の作品との兼ね合いで映画館では扱いが少し小さめだけれど、本来は堂々の看板作品の価値があります。ぜひ劇場でRPGのパーティと一緒に鑑賞しましょう。

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