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2023.03.13

「WENDSDAY」

https://www.netflix.com/title/81231974
NETFLIX シーズン1全8話

ティム・バートン、最高。
ウエンズデー、超クール。
ジェナ・オルテガ、キュート。

予告編にもあるピラニアをプールに放つときのセリフが、当初は「弟を拷問していいのは私だけ」だったのがいつのまにか「いじめていいのは」に変えられているのは納得できない。常識という不条理に対してそれを上回る鉄の自我を突き付けて満足の笑みを漏らすのがこのキャラクタの魅力だろう。そういう尖ったところを勝手に丸めてはいけない。

この、随所にみられるセリフの尖り具合は、実はジェナ・オルテガの役作りに負うところが大きいらしい。
https://jp.ign.com/wednesday/66355/news/


あくまでもストイックに冷酷非情ぶりを見せつけつつ、実は人間的な温かさにも理解はあるようなそぶりを少しだけ見せる。少しだけだ。その落差の微妙さ、匙加減が絶妙で、おそろしい言葉をすらりと口にするこのゴシック調の少女が段々可愛らしく見えてきて、つい引き込まれる。口数の少なさに隠れた責任感や自我の強さも、周囲に流されがちな普通の人にとって大きな魅力だ、

学園を舞台にしているだけあって、競技会ありダンスパーティあり近隣との交流会あり秘密クラブありで、個々のイベント自体が目を楽しませてくれる。そしてそれぞれが大筋に沿った謎解きに絡んでいて、映像の1秒1秒に無駄がなく意味がある。TVシリーズとして飽きさせないだけのネタの豊富さが嬉しい。それを夜通し一気見できる幸せ。

普通に聞いていたら眉をしかめそうなウエンズデーの過激な言葉がそれほど耳障りではないのは、この事件の背後に隠された悪の大きさと比較するからだ。本シーズンでは前景に人食いの怪物を置き、後景にはカルト的存在を置いて重層的に楽しめる。事件の解決が最後の最後までもつれて最終話まで緊張が持続する。

何から何まで、一片も無駄もなくそれでいながら内容が豊かで、ティム・バートンの最高傑作に数えられるのではないでしょうか。

 

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