「コンパートメントNo.6」
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ガール・ミーツ・ボーイというジャンルがあるかどうか知らないが、まあそんな感じの作品。
ボーイ・ミーツ・ガールはたいてい男の子の方が女の子の機微を少しづつ知ることで仲良くなっていくのだが、本作はその逆で、女の子が男の子の純情や誠実を徐々に理解していく中で、女の子自身の感情の揺らぎや変化を描いている。そこがちょっと新鮮。
途中、当て馬的に登場するやさ男のシークエンスがあり、そこでは女の子が属する文明的な世界と、男の子が属する少し厳しいが包容力のある世界との、意思疎通のプロトコルのすれ違いが浮き彫りになる。
最後に、話中の伏線を綺麗に回収して、そこで男の子の愛すべき馬鹿っぷりを女の子がひとり楽し気に笑うシーンで後味よく終わる。その前に、男の子が彼女の真心を得るために、隠れた犠牲を払っていることを彼女が気づいていると匂わせるシーンを見せた上のことなので、なおさらよい終わりかたになっている。
噺の展開はとてもゆっくりだから、気の長い人にお勧め。
なお、この話は、ロシアの男の子とフィンランドの女の子で構成されていることから、様々に想像は広がるのだが、それはあえて触れないでおこうと思う。ただ、ロシアにも尊重すべき固有の文化があり、決して馬鹿にしたり粗略に扱うべきでないことだけは、本作を観てよく理解できた。
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