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2023.01.08

「嘘八百 なにわ夢の陣」

https://gaga.ne.jp/uso800-3/
 
え何これ。お笑いなのに最後泣かせちゃうのこれ。泣いちゃいましたよ。正月からいい話聞いたな。そんで最後の最後に全部仕掛け屋の企みつまりうそぴょーんていう種明かしをちょっとだけ。ずるいぞー。
 
こういう話にぴったりの言葉がそういえばありましたよ。
 
「嘘から出たまこと」
 
三年目の今年も、このシリーズの良さが巧みに織り込まれて、いい味に仕上がってました。
 
 
価値とは、という問いは気軽に言えそうで、その実、難しい。普段の生活ではとりあえずの方便として金額に換算して考えがちなそれが、実は、人が見る様々な夢の値打ちであって、状況や経緯、つまりは物語の如何によってどのようにでも変わり得るということを、本作では、手間暇かけて文脈を練り上げた頂点の舞台で、あやしげな贋作屋の口上を借りてきっぱりと言わせている。
 
前二作では、やや曖昧にも見えたこの点を、三作目の今回は鮮やかに言い切っている。贋作と人は呼ぶけれど、数百年前にその器に込められた思いと、今日ただいまの人々の思いとに真贋の違いはないということを、この贋作屋は己の身命を賭して発語している。
素晴らしいです。
 
そして、その物語を整えて盛り上げて見せるのは、贋作屋のちょっとしたおまけ、マーケティングスキルですよと最後にウインクして見せる。憎いですね。さらに、全部が仕組まれた予定調和でもなく、関わる人々の微妙な綾が織り込まれて、偶然性とも共鳴している。
 
毎年初めにこのシリーズを見られるのは大変幸せだなあとつくづく感謝しております。来年は台湾ですかそうですか。平和な気持ちで四作目を見られるよう願っております。

 

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