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2022.11.14

「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」

マーベル映画の中で、見続けようと思っているシリーズのひとつがこれ。アメリカ合衆国がだんだんと白人だけの国ではなくなっていく中で、存在意義が大きいシリーズと思う。第1作の大ヒットは、そういう米国人の意識に訴えるところがあったのかもしれない。
 
なので、チャドウィック・ボーズマンが亡くなった痛手は大きい。黒人がこれからどんな地位を米国の中で占めていくべきかについて、彼はいろいろ示唆を与えるのに適した素材だったから。
 
本作が前半で、力を手にした白人国家への剥き出しの不信感を描いているのが印象的だ。ボーズマンのティ・チャラならもう少し抑制の効いたスタンスを取り得ただろう。
 
とはいえ、ディ・チャラの妹シュリが、憎悪を最終的にはコントロールしてリーダーとしての器を見せたのはよかった。少し残念なのは、本作での対立相手が同じ小数民族の有色人種だったこと。少数者どうしをいがみ合わせることで支配を強固にする白人国家という嫌な構図が見えてしまっている。なんだかなー。
 
シュリのキャラクタが軽すぎることも、今後の不安要因だろうか。本作は、ボーズマンの穴をとりあえず埋めることはできたものの、今後の展開はよくわからない。ティ・チャラの世継ぎも最後に紹介されて希望はつないだけれど、それが実を結ぶのはずっと先になるだろう。

 

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