「ルパンⅢ世 次元大介の墓標 血煙の石川五ェ門 峰不二子の嘘」
NETFLIXで。
TVアニメは子供向け、映画はファミリー向け。それらは原作のテイストとは大分違っていて、それはそれでいいものですが、売るためにやむを得ないところもありました。
今回見た3本はその点、多少ビターな味を加えてはいます。でもやはり基本的にルパン達は善人。この方向で趣向を凝らすなら、もっと悪辣さ、非情さに振ってみる手もあったかもしれません。
とはいうものの、これほど一般家庭にお馴染みになったルパンというキャラクターは、もう悪の側に振ることは許されなくなっているのでしょうか。少し残念な気はします。
作品自体はよく出来ていて、次元、五ェ門、不二子、それぞれのプロフェッションと人間性に焦点を当てた独立した作品でありながら、基調に同じ背景を据えた連作のしつらえになっていて、相互を参照しながら謎が明かされていく仕掛け。上手いです。
3作の中では、私のような古い人間としては、次元の回の浪花節的な渋さがとりわけ良いです。「ロマンに欠けるね」という殺し文句がもう次元大介そのものでサイコー。そして、そう言いながらもロマンで勝てるなどとは露ほども思っておらず、彼我の長短を冷静に比較して勝てる手法を考案し超絶技巧でやってのける。プロよまさにプロ。堪能しました。
この3作のほかに「峰不二子という女」もあるようなので、こちらも見なければ。