「サンドマン」
NETFLIX シーズン1全10話
風変りな設定とストーリーでとても面白い。原作はDCコミックだそうだけれど、本作はかなり大人向けの味のある内容になっている。なにしろ主人公はDreamだし兄弟姉妹がDeath,Desire,Despaire,Profligateといった塩梅だ。彼らそれぞれが、自分の領域を統べる王として固有の道具と力を持っているようだ。
派手なアクションは無い代わりに、人の内面に降りていくような静かな躍動がある。映像もそれに合わせた冷たい仄暗さが基調になっていて好みです。
最初の1~2話くらいまでは、主人公が囚われの身となって百年くらいがするすると過ぎていき、人間社会と夢の世界が壊れ始める話で、少し辛抱してじっくり見ていく。そのあとは、道具を取り戻し世界を修復する過程に沿いながら、嘘と夢、生命の源である希望、死と夢、夢と現し世などについて、現実世界の事件と絡めながら思索を巡らせる話になっている。
お話の中心にいる"Dream:夢の王"が他の者たちに比べて強大な力を持っていることは、本作の思索のありようを特徴付けている。夢には特定の方向を持たない融通無碍なところがあり、人の現世の綾を描くのにぴったりはまる。
主人公がクールな細面で一見冷酷な言葉を紡ぎ出しながらも、ストーリーが進むにつれて微妙な人間味を滲ませていくのがよい。激することなく、物静かに、しかし強い力を言葉に込めて、名セリフを口にする。
その思索の結実であるセリフを、耽美的な映像で観ていくのが本作の楽しみ方と言っていいだろうか。
シーズン2への仕込みも十分で、先が楽しみです。