「灼熱の魂 デジタル・リマスター版」
2010年公開の作品。
ヴィルヌーブという人を、これまで少々甘く見ていた。
いや、もちろん素晴らしい映画の作り手であることは言うまでもない。だが、大市場向けにソフィスティケイトされたメジャー作品ばかり見ていて、この作家の芯のところが十分見えていたとは言えなかった。予感はあったが。
本作は、その核心と思われる部分を見せてくれる。内容、語り口、映像の手法、全てが凄まじい切れ味。見終わった後少し眩暈がするくらいの衝撃だ。
内容の凄さは原作によるところが大きいだろう。インタビューの中で監督自身が言っている。ワジディ・ムアワッドの戯曲というものらしい。「まるで顎に強烈なパンチを受けたような衝撃で、膝を震わせながら劇場から出てきたことを覚えています。すぐに自分がこの作品を映画化するのだと確信しました。」
コロナ禍以降、もうひとつ煮え切らない感じの作品ばかり見てきた気がするけれど、本作で目が覚めました。また映画館に足を運ぼうという気にさせてくれます。
久々に凄い作品を見てしまった。
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