「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」
まあ、いつもどおりのジュラシックでした。懐かしい顔がたくさん出てきて揃い踏みだったけど、どういう話だったかはあんまり覚えていないので、見落としている面白さがあるだろうと思います。
このシリーズというかフランチャイズっていうのかな、は初期の頃は人間の無力さを思いっきり味わえるのがいいところだったけど、途中から、人間も知恵を使い始めて、恐竜は怖くない、制御できるみたいな話になってきたあたりから面白さが薄れたように思います。新種の恐竜を技術で生み出すという流れになると、なんというか、焦点は人間の業の方に移ってしまって、恐竜は脇役に追いやられた感もあります。
そういうわけで、その集大成たる本作でも、残念ながら恐竜は脇役です。ステレオタイプな人間ドラマの占める割合が大きくて、単純に恐竜でかいこわいを楽しむものではなくなっています。
それにしても、テックジャイアントって米国では相当嫌われ者になってきてるのかなと感じさせる設定でした。人の意見を聞かず、自分の考えが唯一絶対で、技術で儲けることしか考えていないかのように振る舞う様子が強調されていて、知らずに嫌悪感を植え付けられます。実際のところどうなんでしょうね。
とうわけで、見ないわけにもいかないけれど特にお勧めするほどでもないといったところでした。
* * *
ところで、本作には実はとても印象的な絵があります。ストーリーの本筋とは何の関係もないのですが、冒頭、恐竜の子どもを盗み出すシークエンスの終わりあたり。どうにか追っ手を撒いた主人公たちが、明け方の荒野でこれからの行動を思案する場面ですが、ここの色合い、風のそよぎ、空気感が絶妙によかった。巨大組織に抵抗しようとする彼らの寄る辺なさが見事に表現されていたと思います。
CGで作られた恐竜の絵よりも、この何の変哲もなさそうな絵の方がはるかに印象に残るあたりに、映画というものの技術の奥行を感じました。(もしこれもCGだとしたら、もう何も言えませんが)