「スパイダーヘッド」
NETFLIX
人の認知を制御する薬の開発を巡って、その仕事にのめり込む科学者と被験者の人間模様を描く、とまあ言葉で言えばそうなるのだが、案外あっさりしたテイストで終わっている。良くも悪くもNETFLIXオリジナルなんだろうか。
被験者は服役中の犯罪者たちで、この薬の被験者になる代わりに快適な受刑者生活を与えられている。とはいえ、過去の罪に苦しんでいることに変わりはない。その罪の記憶と贖罪の意識が薬の作用と重なって、興味深い反応が得られる。科学者はそこに目を付け一攫千金の発明を狙うのだったが・・
というありがちな普通の設定の裏側に、もう一つの真の目的が隠されていて、というメタな構造がちょっとだけ面白い。まあちょっとだけだ。
この辺のバランスは微妙で難しいところ。表向きの実験の方が印象が強いので、真の目的の衝撃がかなり薄くなってしまっている感じもする。むしろ、真の目的は、映画らしくカタストロフで終わらせるための方便のようにも見える。
その辺りの煮え切らなさが、あっさり風味に感じられてしまったのかもしれない。
西洋映画に普遍的な、従順さへの嫌悪とか支配への抵抗とかを、もう少し強調してもよかった気もする。世の中の時期が時期なだけに。