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February 2022

2022.02.28

「ザ・ビートルズ GET BACK:ルーフトップ・コンサート」

IMAXで。よかったー。

音楽のことはまったくわからないけど、聞いたことがある曲がいくつもあった。「名曲の数々」の宣伝に偽りなし。中学校の教科書に"Let it be"の歌詞が載るくらいだから、誰でも知ってるのだろう。

街行く人がみんな観衆になってしまって警察も大弱りなのが笑えた。んで、この時代の人たちの仕事中の普通の装いが音楽と合っていてとてもよかった。

エネルギーと同時に繊細さがある音楽。やっぱりビートルズよいですね。

 

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2022.02.24

「セブンス・サン 魔使いの弟子」

NETFLIXで。
2014年の公開だから、かなり前の作品。2時間弱と手ごろな長さなので、安っぽい予感はあっても、平日夜の帰宅後についだらだらと夜中過ぎまで見てしまって後悔する。

でもこんなB級味溢れる中身でも、結構有名な俳優さんが出ていてなんだろなと思う。狙ったけれど脚本がだめで失敗という感じなんだろうか。

同じ頃のB級作品でも、例えば「ギヴァー」とかが、それなりにちょっと惹かれる作品世界なのに、この作品は、まったくのマンネリ陳腐感がぬぐえない。

一応、魔を倒す者はまた魔に魅入られた者でもある、くらいの教訓はあるけれど。。

まあ、映画という産業を支える裾野だと思えばいいでしょうか。

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2022.02.21

「グッバイ、ドン・グリーズ!」

時々ジュブナイルを見て心の洗濯をするわけです。
よいなー。

本作は、終わり近くになるまで現実空間と夢想空間の区分がもうひとつ曖昧で、そこが好悪の分かれるところだと思います。私はまあ許容範囲という感じです。

台詞は組み立てられ過ぎな感じがあって、それはアニメ映画全般に言えて少し残念ですが、それもまあ許せる範囲。

脈絡のないバカ騒ぎや堂々巡りが、もう少年たちって感じでよいです。最初はあんなにおおごとに思えたことが、冒険を経た後はどうということもないものに変容しているのを見逃さないようにしたいです。

物語の最後に、二人が少し大人に近づいて、自分たちの少年期から引きずってきたもやもやにケリをつけるべく、謎の核心へと地球を半周して辿り着き、そこで謎の大部分が氷解するわけです。
分かってしまった後でも、その偶然の時間の一致がものごとの綾を感じさせてエモーショナルです。それが、本作の良さ。

人を突き動かすものって、案外他愛もないことですが、それがそれぞれの人にとって大切なことなのだと気づく過程が大切です。

作品としては練り足りないところがやや目につきますが、でもジュブナイルだということで許します。

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2022.02.14

「ミニマリズム」

NETFLIXで。

必要なもの、不必要なものをよく吟味して、不必要なものを持たないようにしようというミニマリズムの思想の伝道者2人のドキュメンタリー。
ここでも主張の肝は、ストイックにモノを捨てるのではなく、バランスを考えながら、広告による刷り込みではなく、自分の考える人生を生きようということにありそうだ。

日本人にはかなり以前から侘び寂びの思想の系譜があるし、バブル時代が去って低成長が長く続いていることもあって、現代の我々はミニマリズム的な生き方に近いところに居る気はする。

が、残念なことに、もっと収入が欲しいという方向に向かいがちだ。いまの収入でも賢く幸せに暮らせる知恵・方法があるのではないか、という方向にはなかなか行かない。

ひとつには、コマーシャリズムの影響が大きいだろう。TVから流れてくるひっきりなしの刺激が、立ち止まって自分でものを考える能力を奪っている。インターネットも最近は同じ害を垂れ流している。こちらは広告ではなく、知り合いからの刺激だ。誰それが新しい何々を買ったという情報が、無用の物欲を掻き立てる。

もうひとつは、経済の成長神話があるかもしれない。こちらはもう少し話が込み入っている。ミニマリストが増えれば、物と金の回転速度は落ちて、GDPは今より下がるだろう。それで社会はもつのかという疑問がある。これについての答えは本作の中にはなさそうだ。そもそもいまの過熱した消費社会を維持するという前提を疑うべきだという立場なのかもしれない。

さらに、子どもがいればミニマリズムなどと言っていられないだろうという指摘がある。誰もが思い浮かべることだが、ミニマリストたちはその解答は用意していた。彼らが目指しているのは自己満足的な禁欲主義ではなく、バランスの取れた、自分で考えたうえでの消費ということなのだ。

当たり前の結論だが、こうして座ってキーボードを叩きながら周囲の部屋の中を見回してみると、当たり前などと偉そうな口は聞けないことがすぐにわかる。

10年前のアナログ停波以来、TVを見なくなったおかげで、新しいものを買いたい欲求は随分減った自覚はあるが、それ以前に買ったものの整理がまだついていない。

この機会に、少し不要なものを捨てて、そして空いた隙間を要らないもので埋めないようにしてみようか。

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2022.02.13

「ナイト・オン・ザ・プラネット」

ジャームッシュの1991年の作品。欧米の5つの都市を舞台に、タクシーと客とのやりとりの中に、それぞれの都市の雰囲気を、風刺のスタイルで描くオムニバス。

古いといえばそうだろうけれど、今と変わらない地域性・国民性のようなものが滲んでいてにんまりする。実際にそうなのかどうかは知らないし、あくまでジャームッシュの見立てということではあるのだが。

ロサンゼルスでは、世間一般の常識と関わりなく、自分で決めた自分の道を迷いなく行く自我の強さ。
ニューヨークでは、見知らぬ者どうしでも、一芸のある人、困っている人には助力を惜しまないフランクな気質と、その裏にある闇の濃さ。
パリでは、社会的弱者の魂や感性の意外な強さと、恵まれているがゆえに緩さがある健常者の意外な弱さ。
ローマでは、壊滅的な倫理の軽さと、形式的な贖罪のための便利な道具でしかない神やカソリック教会の矮小化。
ヘルシンキでは、個の確立とは遠い、情にほだされやすい社会の湿り気。

当たっているかどうか難しいところだが、まあおおよそはそんなものが並んでいる。

パリのエピソードが知的で面白かった。ローマはひたすら煩い。ヘルシンキは、ちょっとほかの4都市とは違う感じがした。風刺ではなくいたって真面目。アメリカの2都市は、だいたいこんなもんでしょうか。

よほど暇だったら見てもいいかも。

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2022.02.06

「355」

まあ想像どおりの作品だった。驚きはなかったけれど、作り手の感覚がはしなくも現れたところがいくつかあった。

本作の女性チーム5人の顔ぶれは、米国白人、英国黒人、ドイツ白人、スペイン白人、中国東洋人。アラブ人やインド人はいない。やはり女性の人権が弱そうな国はまだ参加資格がないらしい。

この人たちの暴れ方というのが、非常に偏っていて、欧州大陸ではとっとと殺した方が手間が省けるのになかなかそうしない一方で、モロッコ(イスラム圏)のフェーズではいともあっさり人を殺しまくる。殺しているというより果物を捥いでいる程度に感じられて、その無神経ぶりに戦慄すら覚える。インディージョーンズもこうだったかどうかよく覚えてはいないが、欧米人がイスラム圏を見る目は何十年も進歩がないようだ。
まあ、進歩がないのはひょっとするとイスラム圏の方かもしれないけれど。

チームの中で最後に登場する中国人エージェントの見せ方もまだぎこちない。能面のような化粧ひとつとってもつくりもの感があふれている。もちろん不可解な国という貌を表すために意図してやっていることなのだろうけれど。

それに比べて、勝手知ったる欧米世界の描き方の方はよくできている。ダイアン・クルーガーの壊し屋っぷりとか、思わず微笑んでしまいます。何かあるとすぐ、よし、壊そうぜ、と前のめりになって仲間に止められるのがお笑い芸人のお約束みたいです。男の役柄でこのタイプは少しイカレタ奴という扱いが標準だけれど、女でこれだと、まあそういう風にキレると手がつけれらないことってあるかもなと言ったら女性蔑視なんでしょうかそうですか。

そういう笑えるところを見にいくぶんにはいいんじゃないでしょうか。中身は普通のスパイ映画だから、面白さはまあそれなりですし。

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「大怪獣のあとしまつ」

大阪ゲーニン風の下品でつまらないギャグを散りばめながら、実はあの震災による原発事故を斜に構えつつ振り返る真面目な映画。ほんとか。

まあ少なくとも、怪獣とは全く関係ありません。

当事者は実際のところ、大変だったろうなと思うわけです。日頃は社会の上澄みで生きているような人たちが、あんな汚れ仕事に全面的に向き合わなければならなくなったわけですから、そりゃ混乱するだろうし、お笑いで胡麻化したり茶化したりもしたくなるでしょう。しかも、誰がやってもそんなに上手くはいかないような、未経験のことばかりなのですから。

そこはしかし、曲がりなりにも優秀な人たちの集まりだけあって、効果のありそうな対策をいくつも繰り出すわけですが、ことごとく予期せぬファクターのせいで水泡に帰します。辛いですよね。でもものごとってそんなものです。

実際、地中に氷の壁をつくるとかフランスから排水の処理機械をもってくるとか遠隔操作の作業ロボットを泥縄式でつくるとか、失敗も成功もあった末に、いまでも膨れ上がる処理水をどうするかですったもんだしているわけですから。ガス圧で爆発するとか、凍らせる話とかはわかりやすいメタファーでしたね。

映画としての結末は、未知の救世主が表れて汚れものを大気圏外に運び上げ星になって事案は解決されてめでたしめでたしですが、仄かな恋心も報われずに終わります。ご武運をとかいうのは苦し紛れのゲーニン根性の最後っ屁ともいうべき悪い冗談です。

まあ、特撮の歴史へのリスペクトもあって、諸星弾とアンヌのシーンへのオマージュなんかちょっとよかったです。

暇なら見てもいいかな、くらいでしょうか。

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