「GUNDA/グンダ」
農場の動物たち、とくに母豚と子豚たちの映像をモノクロームでひたすら見せる1時間半。
じっと見ていると、豚がかなり知的に思えてきます。鶏と比べるとそうです。牛も出てきて、二頭がお互いの顔にたかる蠅を尻尾ではたいているのを見ると、こちらも知性がありそうです。
決して駄作ではありません。それどころか、ひとつの世界を映していると言ってもいいと思います。映画評は「宇宙」などと大袈裟に言っていますが、世界です。そして豚たちにとってはそれが全てです。
この「それが全て」の感じを味わう作品だと思います。主語を決して大きくしない。足が地に着いている。
最後に少しだけ人の営為が出てきます。野生ではなく農場だから当然です。豚たちにとっては世界の外からの干渉です。そのときの母豚の表情や振る舞いを見て、我々は何を想えばよいのか。それを考える作品でもあります。