「このサイテーな世界の終わり」
NETFLIX 2シーズン全17話
英国のブラックコメディ漫画をBBCが映像化した作品だそうで、一気見して期待通りでした。といっても好みがわかれるところなのでお薦めはしません。
主人公のハイティーン2人、特に女の子の方が、良識を欠いた発想に強烈な行動力が合わさって、その突発的な危うさが魅力であり物語の推進力でもあります。男の子の方も相当危ういはずで、面白い組み合わせですが、この女の子に振り回されています。
ただ、やってしまったことへの罪の意識で苦しんでいるところが、可愛らしくもあります。表面はクールに取り繕っていながら、歳相応の心細さや寂しさ、苦しさや恋心などの内面がちらりと覗くところに魅了されます。演じているジェシカ・バーデンさんの匙加減がよいですね。
彼らの人格をこんな風にした辛い家庭環境が、つまりは「サイテーな世界」ですが、二人はそこから遁走し、逃亡生活を維持するためにルール破りを重ねながら、シーズン1の最後に報いを受けることになります。なので、シーズン1では完結しません。
続くシーズン2ではその2年後が描かれます。相変わらず世界はサイテーですが、今度は彼らが復讐の的になる話が展開します。規範意識の薄さは変わらず、適当に結婚式を挙げた直後にブッチして離婚を言い出すなど相変わらずですが、それでも2年間の経験から、ルールの裏には相応の理由があることを学んでいます。ダイナーでの食い逃げの代金を誰が負担しているかをアリッサが指摘するシーンがそれを端的に物語っています。自分の生身で学んだことはきちんと生かしている。素直ですね。
復讐者が自分達と同じように弱者への暴力から身を守るために殺人を犯してしまうのを見て、彼らの心にどんな変化が生まれたのか、台詞では語られませんが、ちょっとした反応の変化でそれがわかります。最終話で二人は、互いを愛するというのはこういう感じなんだということを体得します。男の子の方が少し早く、そしてストーリーの最後に女の子が追い付いて、殺伐としたサイテーの世界の中に、ほんのり暖かい居場所が生まれたところで、この話はおしまい。
この作品の優れているところは、そういうことを、教訓的で説明的な台詞ではなく、ちょっとした行為や試行錯誤の積み重ねから滲みださせているところです。なかなか良い出来で、好きな作品になりそう。