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2021.11.21

「ジェントルメン」

巨万の富を生む裏のビジネスを巡って悪党どもが知恵を絞りあう争奪戦。それを情報屋の口を通して語らせるという趣向。

中心にいるのがマシュー・マコノヒー演じる本作の主人公。若い時の荒事でその手は血で染まっているが、中年になった今は安定した「ビジネス」を商い上流階級の知己も多い「ジェントルマン」。この主人公が、大麻は人を殺さないがヘロインは人を殺すからクソだと言っているのが本作の味わい。悪党にも節度を知る者がいるというわけだ。

そんな彼が大麻ビジネスの合法化による事業の成長を見越して営業権ほかを他人に譲って楽隠居しようと考えたのが事の発端。それを野獣の衰えとしか思わない業界の面々がいっちょかみしようと動き出す。

話をもつれさせたのは仕組まれた襲撃から派生した偶然の事故。情報屋が言うように、ドミノが全方位に倒れ出すのはその偶然からだ。そこから後は何重にも折り重なった情報戦。情報が戦いを制するのはやくざな世界でも変わりはない。

狡猾な上流階級、金目当ての商売人、野心家の中国人とその内紛、血の復讐を誓うロシア人、義理堅い市井のキン肉マン、忠実な腹心、メディア屋と情報屋、まことに多彩で面白い面々が各々のドラマを演じては舞台から降りていく。そして最後に生き残ったのは。

最愛の妻の意見を聞いて己を保ってきたその男が勝者とは、まったくよく出来たストーリー。かっこよすぎます。

マシュー・マコノヒーには独特の色気があって、こういう役に実によくはまる。リーアム・ニーソンやダニエル・クレイグと明確に異なるタイプで、今回もそのかっこよさを堪能しました。ジェームズ・ガンがそれを上手く生かしてくれて最高です。

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