「エターナルズ」
古代の叙事詩、神々の戦い、被造物による神殺し。わたくしの好物満載です。でもたぶん一般受けはしなさそう。理由は、話が大きすぎることと、にもかかわらず現代的な人間ドラマになっているから。
これまでのマーベル作品と同じようなアメコミ映画の騒々しさを期待していると、違和感を覚えるかもしれません。もちろん派手なCGアクションはたくさんあって要所で盛り上げているけど、本作の力点はむしろ、会話と苦悩と苦渋の選択の方に置かれています。お気楽にアクションを見に行ったつもりが、人間という存在の害やらマッチョマンの弊やらマイノリティの屈折やらなんやかんや開陳されて、いや、そんな真面目な映画観に来たつもりじゃないんだけどと思われそうです。
で、わたくしはそういう根暗で屈折した作品、それをはねのけて自我を目覚めさせる人間の話が大好きです。
それにしても、いきなり宇宙の根源みたいなのが出てくるのは狂っていて反則です。
星々が神を生み出すための孵化器だとか、生まれ始めた新しい神が半分顔を出したところで固化してとか、信じ難い世界の設定と映像化です。そして、そういうスケール感の破綻した存在をヒトの日常と混在させているのが本作の真骨頂です。神がもっと身近だった時代の再現。よいですね。
次作の予告めいたカットがエンドクレジットの最後に来るのですが、今度は虫けら同然の「ジンルイ」がこのぶっとんだお話の鍵になりそうなことが暗示されます。じらすのうまいですね。
ということで、次回も期待して待つ。