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2021.10.31

「ロン 僕のポンコツ・ボット」

「Her」という映画がありまして。独り身のオタクがスマホに恋人のイメージを投影した挙句裏切られるという変態的映画でしたが、それと似て本作は、スマホの代わりにもう少し近未来風のAIロボットに友達を投影する作品になっています。そして「Her」とは逆に、その結末は、AIロボに新の友達とはどういうものかを気付かされるという希望に満ち溢れたものになっています。

バーチャルな世界で他人の注目を集めることに価値があるといった「新しい」経済に対する批判があり、昔ながらの身体性を伴った体験の方を称揚しています。私のような旧い人間はそこに共感を覚えますが、将来なりたい職業の上位にYouTuberが上がってくるいまの若者に、そういう古臭い感覚は共有されるのでしょうか。

ITデバイスが、儲け第一主義のネット企業によって危険な管理ツールに変貌する可能性も描かれており、必ずしも笑い飛ばせないリアリティがあって怖いです。でもその怖さを、子どもの世界で可愛い絵柄と遊びを交えたアクションに含ませて描くことで、ソフトに伝えています。暗黒のディストピアみたいな描き方より実感があって消化しやすくなっています。

ITデバイスも結局は道具なので、使う側の人間次第で良くも悪くもなるという、いつもながらの落としどころに落ち着きますから、見ている方も安心です。

隣の席で、小学校前くらいの子が食い入るように見ていたので、結構子どもには受けるのじゃないかと思うのですが、上映のコマ数が少ないのが残念です。そのうちネットでも見られるとよいですね。

ちとおざなりの感想ですが、深く突っ込むと現在進行中の難しい問題がいろいろ見えてきそうなので、そのくらいで。

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