「虫籠のカガステル」
NETFLIXで2020年2月に配信開始の作品。全12話
基本的には吸血鬼やゾンビものと同様、人間が異形に変化して人を喰らう設定のもとにお話が展開する。それだけでいい話になる素地は十分だけれど、本作は加えて、虫に変化しない体質の人だけの世を作ろうとする勢力、人と虫との中間の存在、虫たちを統べる女王の存在など、面白さが5割増しくらいになっている。人と怪物との葛藤は既に普通の要素になり、その上で何を描くかという問いに、本作はひとつの回答を与えている。
前半は、巨大な虫の描写を交えて目を惹きつけながらも、そんな環境下でも息づく家庭的な雰囲気で進んでいく。それが、少女の覚醒と共に一気に急展開を始めて、わずか1日かそこいらの時間の中に、濃密な世界観と巨大な陰謀と政治勢力どうしのつばぜり合いとが投げ込まれ、最後まで一気に進む。
説明的な台詞が多いのは、この絡み合ったたくさんの要素をうまく処理するには必須だったのだろう。それがあまり気にならないのは、脚本の良さのおかげだろうか。
ひとつ惜しいと思ったのは、登場人物の絵柄が若すぎると思えるところ。主人公の少女はもう少し大人の設定でもよかったと思う。ジャパニメーション全体に言える傾向だが、そろそろ考え直してもいいのではないか。高齢化も進んでいることだし(笑)。
ともあれ、早回しで一気見しても面白さが保たれる良作でした。