「白蛇:縁起」
白蛇伝というのが、中国の民話では有名だそうで、様々な時代設定とバリエーションがあるそうだ。いずれも、人間の青年が美しい女に化けた蛇の妖怪にとりこまれそうになり、法力を持った僧に取り押さえられるというプロットのようだ。日本では道成寺を舞台にした話として子供の頃聞いた覚えがある。
さて本作は、その白蛇伝を元にしながらも、蛇の妖怪を善玉に置き換えて、人間と妖怪の悲恋に仕立てている。また、白蛇伝そのものではなく、その前世の物語としていて、なんと本編はこの作品の続編として2021年に中国で公開予定だそうだ。ぜひ日本にも持って来てほしい。
物語としては、主人公カップルの他にもさまざまなキャラクタが登場して、アクション、ロマンス、友情、姉妹愛、村人たちとの葛藤、悪辣な権力者たちとの闘いなどなどなど、面白さてんこ盛りに仕立てている。よいですなー。
絵や色使いや音曲も中国らしい感じがして日本のものとは一味違うところもよいです。
なにより、輪廻転生の思想を取り入れて、悲恋が悲恋で終わらずに次の生まれ変わりへと物語が続いていくので、救いがある。もちろん、悪役も、それから第三者的な立ち位置の化け狐(これは正邪いずれとも取引する武器商人みたいな位置づけか)も、その大きな流れに乗っていて、悠久の時の中で闘いは繰り返されるわけだが、いかにも中国らしいスケール感があってよい。解脱せずにいつまでも楽しませてくれれば、見る側としては文句ありません。
次も期待したいです。