「ノマドランド」
アメリカって広いな。
そして豊かなんだ。
そういうことが一瞥してわかる作品。
見る前は、貧困をテーマにしているのかと思ったのだが、そうではなかった。本当に貧困に喘いでいるなら、オンボロとはいえキャンピングカーやピックアップトラックで旅ができるわけがない。
だからこれはむしろ、何かを失った痛手から、いっとき世知辛さを離れ、人との接触を少なくし、より大きなものの中をさすらって生きる癒しの時の話なのだ。
そういう生き方を選ぶこともできる自由と、さすらうに十分広大な大地と、少し働けば生活はできる程の社会の豊かさが、じんわりと伝わってくる。
もちろん、本作が描き出そうとしているものは、現代のノマド達の心の裡であり、それぞれに抱える傷心の背景なのかもしれない。それはそれで、時間泥棒のなすがままに漂流する我々現代人の心に刺さる話ではある。
ただ、アメリカという国を外から見ている者として、作品の背景に見え隠れする、圧倒的な自由と豊かさが、とても羨ましく思えた。
フランシス・マクドーマンド、「スリー・ビルボード」に続いて、普通の人の普遍の心情をケレン味なく演じて見せてくれました。
ちょうどタイミングよく、いい台詞をネットで見つけたので、一緒に残しておきます。
https://www.facebook.com/onlythinkingart/posts/3809838325735914
"CALL ME CRAZY BUT I LOVE TO SEE PEOPLE HAPPY & SUCCEEDING.
LIFE IS A JOURNEY, NOT A COMPETITION"