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2021.04.20

「ヴァイキング 〜海の覇者たち〜」終幕まで

シーズン6まで、長かった。。。2013年から2020年までの足かけ8年全89話。とうとう見終わりました。

ラグナルはシーズン4で退場して、あとは彼の息子たちのお話になるのですが、ラグナルの少し神掛かった言動と異なり、あまりにも俗な権力闘争の連続で、少しげんなりします。

それと同時並行して、キリスト教と北欧土着の信仰とのせめぎ合いも描かれていきます。日本で言えば、さしずめ仇討ち禁止令をめぐる葛藤のようなものでしょうか。

ラグナルと肩を並べて世界に乗り出していった人々が、年を経るにつれて、自分の神々の荒々しさに少し疎ましさを感じ始めるあたりが、後半の味わいでしょう。

物語前半で、アゼルスタンに対するフロキの反発は、たいへん直截なものでしたが、後半ではそのフロキが、アイスランドという世界の果てで自身の神々に出会い、見失い、完膚なきまでに打ちのめされる過程が、陰鬱に描かれています。この辺りは見続けるのに辛抱が必要です。

その陰鬱さが、終幕で北米大陸にまで到達したウベ達の前に現れる新天地の輝きをいやがおうにも引き立てます。フロキ、ラグナル亡き後をしっかり締めくくりました。千両役者ですね。


一方、アイヴァーを巡るお話は、北欧の神々の黄昏と滅亡の暗喩のようです。遠くキエフへ逃れ、自分同様にサイコな支配者に出会い、その周囲で虐げられていた人々を援けて、支配者交代に力を貸しながら、おそらく彼は、キリスト教的な慈愛に触れたのだと思います。最後に改宗するヴィトセルクと共に。

東への旅を終えて故郷カテガットへ戻り、再びイングランドへ遠征し、その地で力尽きる有様は、神々の死に花を咲かせた感じでしょうか。「死を生より尊ぶような生き方で勝てるわけがない」という趣旨のアルフレッド王の言葉が、史実でのキリスト教の勝利を象徴しています。

多少、キリスト教を美化し過ぎのきらいはありますが、実際に北欧も教化されたので、勝者が歴史を書くのは致し方ないところではあります。

長い長いお話でしたが、まあ見てよかったという感じでしょうか。

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