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2021.03.10

「ヴァイキング 〜海の覇者たち〜」

https://www.netflix.com/title/70301870

中世8世紀頃から始まって、ヨーロッパ沿岸を荒らしまわったヴァイキングたちを描く歴史伝奇もの。こういうお話、好きですわ。せいぜいWikipediaであれこれ読むくらいだけど、大陸ヨーロッパで民族大移動が起きていた中の、ひとつの大きな動きとして見ると興味が湧きます。

ヴァイキングの行動が活発化したのは、実はその少し前から始まった、フランク王国の拡張に刺激されたため、という説があるそうだけど、本作でもキリスト教と北欧土着の宗教との対立が物語の伏流になっています。元キリスト教修道僧アゼルスタンは、それを象徴する文明開化的なキャラクタで、主人公にキリスト世界の諸々を教える役回り。一方、船大工で戦士のフロキは、キリスト教世界から見たヴァイキングの脅威を表象するようなキャラクタで、悪魔っぽく仕上がっています。
とはいっても、通商に長けていたヴァイキングは、実は当時のヨーロッパ世界の最先端をいっていたらしいので、彼らを蛮族のように見做すのは、中世ヨーロッパキリスト教的な偏見だということは心に留めておきたいところです。

史実では北フランスノルマンディー地方に定住してノルマンディー公国を形成することになるヴァイキングの始祖ロロは実在の人物です。主人公の兄という位置づけで最初から登場して、敵に寝返って裏切者呼ばわりされたり、戦で負けて自暴自棄になったりと、歴史上の役割を物語の中に埋め込む主要キャラクタになっています。

主人公のラグナル・ロズブロークは、何人かの実在の人物を掛け合わせた伝説上の人物のようで、農民出身で戦士で、技術と異文化に飽くなき興味を持ち、卓越した航海術を駆使するヒーローです。作中第1シーズンでは念願の西への大航海を成功させる一方で、地元での権力闘争に苦労する側面も見せています。

まだ第2シーズンの途中まで、イングランドの諸王の一人から土地を貰う代わりに傭兵として働く取引を成立させるあたりまで見ただけですが、ラグナル、ロロ、フロキ、アゼルスタンといった印象的なキャラクタが数多く登場して、ドラマ要素もてんこ盛りなエンタテイメントとして楽しみながら当時のヨーロッパ世界の情勢にも触れられて、面白いです。シーズン6まであるので、先が長いですが、時間を見付けてぼちぼち見ていこうと思います。

 

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