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March 2021

2021.03.28

「モンスターハンター」

お話の内容はともかく、映像はよいですな。45歳のミラ・ジョヴォヴィッチ頑張ってます。
ときどきこういうのを見て頭を空にするのがよいです。ゲームみたいに時間が掛からず、2時間ぽっきりなので助かります。
細かいところがところどころ変だけどまあ気にしない。
異世界だけの話かと思ったら、こちらの世界にも飛び火して、近代兵器と異世界モンスターの対決があるのもよいです。
なにより、感想文が5行で済むのが素晴らしい。てことで。

 

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2021.03.14

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」

お見事な着地でした。

私はエヴァ世代とは年齢が少し離れているので、本当のところはよくわからないし、魂が震えるほど感動したというわけでもないのですが、それでも本作が、これまでのとっちらかったあれこれを回収して、極めてオーソドックスなお話の筋に沿って完結させたということはよくわかります。

何のことはない。少年の成長物語です。それは何度見てもとてもいいものです。

世界は昨日とさほど変わらないし、人が受け継ぐべきものはきちんと受け継がれているし、変わるべきものは若い世代の中に確実に育って、時と共に入れ替わっていく。それだけのことでした。そして、入れ替わる狭間で、若者たちは親たちが同じようにそのまた親との葛藤や和解を経てきたことを知るのです。そういう骨組みをきちんと押さえた、骨太な筋に収まっていました。

もちろん、陰謀や神話やロボットやらのあれこれは十分楽しめましたが、そうした装飾の細かい整合性を言い募ること自体、たいして意味のないことだと思えるほどに、筋をしっかり押さえていました。裏を返せばたいへん説明的だったともいえるわけですが。

見せ方としては、演出や映像の凄さは相変わらずです。エンタテイメントとして他の作品と一線を画しています。再び新しいメルクマールを作ったのではないでしょうか。

ちょっと面白いと思ったのは、作中で描かれる大災厄が、主人公の父親の個人的な美しい思い出の詰まった世界を保つために、他の生きとし生けるもの全てを犠牲にして顧みない心から生まれたとしている点です。まるで、高齢化する世の中で幅を利かせる現実の高齢者層の写し鑑のようです。その分厚い存在に虐げられ、その我儘が、ものごとのあるべき姿を歪めていると感じているエヴァ世代には、このうえなくよく響いたのではないでしょうか。

本シリーズは、その旧世界の重みから逃げて引き籠る若者をずっと描いてきましたが、締めくくりの本作でそれを解呪し、一歩を踏み出す具体的なイメージを与えたかもしれません。

もちろん、たいていの作品はそういう面を持ってはいますが、このエヴァシリーズというものは、とりわけそういう色合いが強く出ていたと思います。

* * *

さて、これで一応、若者はバーチャルな世界から現実の世界に戻ってきました。王子様はお姫様と幸せに暮らしましたとさ、のパターン。でも 実はここからがたいへんです

本作の締めくくりに再び登場した象徴的な主題歌。とてもよいですが、それが示す愛や憧れは、永遠というわけでもないのですから。それらとどう折り合って、あるいはやり過ごしていくのかは、まだこれからの大人の物語になるのです。

生きていくってなかなかしんどいですね。面白いけど(笑)

蛇足ですが、本作が理想郷のように描いている、畑仕事「でも」して生きていく田舎生活は、大多数の人にとっては夢物語で、そんなに甘くないかもしれないとだけ、付け加えておきましょうか。

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「ビバリウム」

これは一体何の映画なんだろう。というのが、見ている間の感想。母親と父親というものを見比べてもの悲しい気分にさせる趣向なんだろうか。それとも子どもというものの手の付けられなさを皮肉っているのか。でも最後まで見てみるとそうでもなさそうで、困惑する。

それで、そもそもビバリウムとは何ぞ?ということで検索してみたら、植物や小さな動物をガラスケースに入れて飼育観察するもの、つまり箱庭のことだった。アクアリウムとかテラリウムとかと同種のもの。なんだ、それで謎が解けた。

実際のビバリウムは爬虫類なんかを飼って楽しむらしいけど、その、爬虫類と人間の立場を入れ替えてみたら、という映画だったようだ。それで、あの子の鳴き袋の意味もわかったし、生活必需品や食料がいつの間にか家の前に置かれているのもわかった。あれは餌やりだったのね。

昨今は、動物園の狭苦しい環境で動物を見世物にするのはいかんのでは、といったことが真面目に論じられて、より自然な生態に近い環境をつくる努力がなされているそうな。本作も、こんな環境に置かれたらいやだろう?ということを暗に示すものになっている・・のだろうか?

あんたの生活、これと少し似てない?とか言われたら嫌だ。でも投資効率優先の都市開発って、こうなりがちよねえ。効率っていうのがそもそもなあ。。

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2021.03.10

「ヴァイキング 〜海の覇者たち〜」

https://www.netflix.com/title/70301870

中世8世紀頃から始まって、ヨーロッパ沿岸を荒らしまわったヴァイキングたちを描く歴史伝奇もの。こういうお話、好きですわ。せいぜいWikipediaであれこれ読むくらいだけど、大陸ヨーロッパで民族大移動が起きていた中の、ひとつの大きな動きとして見ると興味が湧きます。

ヴァイキングの行動が活発化したのは、実はその少し前から始まった、フランク王国の拡張に刺激されたため、という説があるそうだけど、本作でもキリスト教と北欧土着の宗教との対立が物語の伏流になっています。元キリスト教修道僧アゼルスタンは、それを象徴する文明開化的なキャラクタで、主人公にキリスト世界の諸々を教える役回り。一方、船大工で戦士のフロキは、キリスト教世界から見たヴァイキングの脅威を表象するようなキャラクタで、悪魔っぽく仕上がっています。
とはいっても、通商に長けていたヴァイキングは、実は当時のヨーロッパ世界の最先端をいっていたらしいので、彼らを蛮族のように見做すのは、中世ヨーロッパキリスト教的な偏見だということは心に留めておきたいところです。

史実では北フランスノルマンディー地方に定住してノルマンディー公国を形成することになるヴァイキングの始祖ロロは実在の人物です。主人公の兄という位置づけで最初から登場して、敵に寝返って裏切者呼ばわりされたり、戦で負けて自暴自棄になったりと、歴史上の役割を物語の中に埋め込む主要キャラクタになっています。

主人公のラグナル・ロズブロークは、何人かの実在の人物を掛け合わせた伝説上の人物のようで、農民出身で戦士で、技術と異文化に飽くなき興味を持ち、卓越した航海術を駆使するヒーローです。作中第1シーズンでは念願の西への大航海を成功させる一方で、地元での権力闘争に苦労する側面も見せています。

まだ第2シーズンの途中まで、イングランドの諸王の一人から土地を貰う代わりに傭兵として働く取引を成立させるあたりまで見ただけですが、ラグナル、ロロ、フロキ、アゼルスタンといった印象的なキャラクタが数多く登場して、ドラマ要素もてんこ盛りなエンタテイメントとして楽しみながら当時のヨーロッパ世界の情勢にも触れられて、面白いです。シーズン6まであるので、先が長いですが、時間を見付けてぼちぼち見ていこうと思います。

 

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2021.03.07

「ラーヤと龍の王国」

分断という、いまや猫も杓子も語るようになった大テーマがのっけからあっけらかんと示されて気色ばむけれど、そこはディズニーだから乗せるのは上手いのです。クライマックスまでは目を瞠るような映像と一緒に、軽い調子でとんとん拍子に話が進んで、最後の10分の意外な展開で泣かせます。実に手際がよい。ただ残念なことに深みは出ていない感じがあります。

信じる心が分断を解消する鍵、という主張はわかります。自分たちの心に巣食う不信というものが形を成したのがドルーンという魔物だということも作中でさりげなく触れられています。だからこのお話は、自分の内なる不信を乗り越えることを扱っているはずなのです。

ところが、このドルーンという怪異が、人の内の一部ではなくて、単なる外敵に見えるのです。すると何が起きるか。

危機迫るクライマックスでの主人公と敵役の振る舞いは意外性があって感動的ですが、二人がそんな行動に出た理由は、ほかに打つ手がないのが嫌でもわかったから。共通の外敵に囲まれて絶体絶命の窮地に立たされなければ、生まれることはなかった信頼関係。それは打算の色をどうしても帯びてしまいます。

この二人が、現実世界の1%の富裕層とそれ以外とを象徴するような描き方をされているのも、少し生臭さすぎたかもしれません。信頼を託されるのが1%の方とあっては尚更です。

そんなこんなで、見ている間は単純に感動できたのに、後付けで屁理屈を考えだしたら残念感が沸き上がってきてしまったという作品でした。東南アジアテイストは良い感じだし、アニメーションは申し分ないので、もう少し素直に楽しんだ方がよかったかもしれません。

 

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