「ナタ転生」
背景の話が大きくて面白い。西遊記や封神演義が下敷きになっているのだから、面白さは折り紙付き。
加えてアニメーション技術も思っていたよりずっと質が高い。少し動きが早すぎて追い切れないところもあるけど、言い方を変えればスピーディで気持ちがいい。
ファンタジーの世界では龍といえば至高に近い存在だろうけれど、中国の神話ではその上がいる。哪吒太子はその一人。本作でも、強大な東海竜王を火達磨にしてしまう。
そういうスケールの大きな話に、人の世界の情念を絡ませて庶民受けするエンタテインメントに仕上げている。
日本のエンタメとの違いが感じられたのは、天帝のような人知も神仏をも超えた存在を前提にしているところ。本作でははっきりとは出てこないけれど、哪吒を取り上げるならそのうち出てくるはず。その揺るぎない存在が、群雄割拠が常の日本的な感性とは違いそう。
本作のナタは、お話の副産物として宝貝のひとつを手に入れたけれど、宝器は他にもあるから、続編が次々作られるのだろう。東海竜王を皮切りに四海竜王を平らげていく筋書きが目に浮かびます。
中国の娯楽映画、もっとたくさん日本でも上映してほしいですね。