「スペース・スウィーパーズ」
NETFLIXオリジナル
韓流コンテンツは普段なんとなく敬遠している私ですが、本作については、ああ、これは娯楽傑作だ。と、なんのわだかまりもなく言えます。
韓流を敬遠する理由としては、いろいろ濃ゆ過ぎるという点が挙げられますが、この作品はほどよく収めています。お話の構成からキャラの立ち具合から何もかもが定型から外れず、それでいて優れて尖っている。。そしてハリウッド製には見られないディテールもあるのです。
例えば、子供に対する目線がそう。西洋人の子供はあくまでも一個の人格として尊重される空気があるけれど、このお話の鍵になる子供は、縦横無尽天真爛漫に子供らしさを出してきます。おならとか。
そもそもこの子とクルーの邂逅の締めくくりが秀逸です。爆弾ロボットかもしれないとわかったところに子供がくしゃみの予備動作に入ってからのシークエンスはもう爆笑です。こういうセンスは東洋的なお笑いの粋だと思うんだけどどうなんでしょか。もうね、これでぎゅっと心臓掴まれましたよ。
さらに、狭苦しい清掃船のデッキでクルーとこの子が団子になって暮らしているのを見ると、これも西洋の映画ではあまり見かけないセンスだなと思います。クルーのプライベート空間に子供が自由に出入りして、殺伐としたクルーたちの心にしっかり入り込み、彼らのコミュニケーションの核になっていくところなどは、洋の東西を問わない展開ですが、その仕草とでもいうものに、東洋的な匂いが強くします。それがこちらには心地よいのです。
そうした東洋的な要素が、クライマックスの彼らの決断に自然につながっていくところに、理屈と感情との融合が果たされていて、本作の傑作度をかたちづくっていると思います。そこにサプライズのトリックが絡んで、もう言うことありません。
欲を言えば、ナノなんとかが爆発の高熱で壊れることをお話の盛り上げに使っておきながら、その後の奇跡ではあっさり忘れている点を、適当に説明を滑り込ませて収めてくれたら、もう完璧でした。が、それもご愛敬というところでしょう。
そんなこんなで、たいへん楽しませていただきました。こういう作品は、ネット配信のお蔭で世に出る機会が増えていると思いますが、これからもっと増えてくれるといいですね。