« 「スタントウーマン」 | Main | 「バーバリアンズ」 »

2021.01.17

「デンジャー・ゾーン」

NETFLIX配信

原題は"Outside the Wire"。
タイトルからわかるとおり、コントロールからはずれて自走するヒューマノイドがお話の中心にいる。はぐれ者の人間とのコンビで軍のある任務に従事するのだが、軍隊の規律やマニュアルに忠実な人間と、高度な任務を果たすべく自律性を持たされたヒューマノイドとが、どちらがどちらなのかわからなくなるくらい、主客転倒している。とまあ、滑り出しはそういう具合で、どこに話が向かうのかまったくわからない。ただ、妙にのっぺりとした感じで話がどんどん進むので、これが本筋ではないのだということだけは早くから気が付く。

このヒューマノイドが結局、アメリカに天誅をくらわすべく行動していることが明かされて、まあよくある「アメリカ自虐史観」ものだとわかる。戦争絡みでそういうテーマの作品は少なくない。

わかってしまえば、なんということもない。それを阻止する人間の方の本源的な動機は、本国で自分の帰りを待つ恋人だったりするのも、いつも通り。そして見る側としては、いつも通りの疑問を抱く。米国人の彼が本国の恋人を大切に想うのと同じく、米軍が武器を振り回している土地にもまた、同じように大切に想い想われている人たちがいることを、作品ではどう扱うのだろうかと。たいてい答えはない。この種の作品を見るたびに、米国人のこの倫理観にどうも釈然としないものを感じてしまう。超大国の宿命だといえばそうなのだろうか。

もちろん、紛争の現場で巻き込まれる罪もない人々を救おうとするシーンもあるのだが、それもいつもどおり。言い訳くらいにはなっているだろうか。

ヒューマノイドが見せる肉弾戦のアクションはなかなかいいので、そのあたりを見ておくのが吉かもしれない。

|

« 「スタントウーマン」 | Main | 「バーバリアンズ」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事