「ミッドナイト・スカイ」
NETFLIX映画を映画館で見ました。
人類の滅亡と開闢(かいびゃく)とが、宇宙空間を隔てて同時に進行する、不思議な静けさに満ちた味わいの映画。
もし居住可能な地球外天体が見つかれば、こうしたことは起こり得ない話ではないし、それを描いた作品もいくつかあったと思うけれど、多くは脱出劇を伴ったスペクタクルとして劇的に描かれてきたように思う。
しかしこの作品は、そういうものとは一線を画している。
生を求めての脱出ではない。地上に残された人にも未来はない。
反対に、人生の終着を求めて、死の星に変わってしまった地球への帰還がある。
静謐な空気の中でお話は進行する。こういう作品は少し珍しい。
この種の作品に暗喩を見てしまうのは、自分の悪い癖だと思いつつも、ここには例えば、旧来型の映画産業と新興のネット配信産業の地位の交代を読み取ってしまうこともできるかもしれない。
ジョージ・クルーニーは旧世界の人間。これまで彼が愛してきた世界は終わりを迎えている。新しい世界が発見され、新しい世代がそこへ向かうための航路を彼は命を懸けて示す。新しい世代を支えてきた人々の中にも、旧世界へ戻って最後を迎えたい人がいる。一方で、旧世界に取り残された中にまだ幼い子も居て涙を誘う。
よくできたお話ではないですか。
悪くない味わいでした。
ちなみに、もちろん配信で見ることもできるけれど、こういう静謐は映画館の気積の大きさが物を言うところです。クルーニー、さすがによくわかってますね。