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2020.11.15

「日本沈没2020」

NETFLIXの方では、比較的初めの方で父親が爆死するところで、これはちょっと見ちゃおれんと挫折したのだったけれど、気になってはいたので、映画で見てみました。

どうしても細切れにストーリーをなぞるようになってしまうのは仕方がないですが、それなりに筋を追えて感動を盛り込んでいるのは剛腕だなと思います。

我々日本人のアイデンティティというのは、割と重要なテーマではあるのでしょう。原作がこれをどう扱っていたかもう忘れましたが、本作でその意図が露わになるのは、物語も終盤の灯台のある孤島でのラップのシーンでしょうか。ここまで主人公達は散々な目にあってきて、登場人物達も残念な死に方で死にまくってきていて、付き合わされてきたこちらもげんなりしているわけで、いわば飽和攻撃を受けて脳が麻痺している状態なわけですが、その頃合いを狙ってこのシーンを叩きつけてきた感じです。そりゃまあ沁みますね。そこは素直にやられたなと思います。

ただまあ、エピローグのあまりに楽観的なお話は、一般向けの映画作品として締めるにはこれくらいしかないのでしょうけれど、どうだかなあと思います。

ユーゴスラビア人を名乗る陽気なお兄さんを入れているのはアイデアとしてはいいのですが、ユダヤ人の方がより辛辣になったかもしれません。他人の善意を信じてあてにするか、それともあくまで同部族の自力救済でがちんこで生き抜くかといった違いでしょうか。

昭和に生まれ育った私には、子供が変に英語かぶれなのが少し嫌でした。あんな子供は少なくとも自分の周りにはいないなという違和感です。いまどきはどうなのでしょう。世田谷の話のようなので、ただいま目黒在住の私にはわかりません。

父親が退場したあと、ほどなくして現れ行動を共にするYouTuberは便利な都合のいい存在。普通の人間では生き延びられないような状況をぎりぎりクリアするための、状況の外にいる超越者です。これを状況の中に置いてしまっているので、見ている方は少し鼻白みます。そんなうまい話しがあるかいなと。最後の気球はその言い訳でしょうか。

ということで、最初の辺りの凄まじさを後半ではかなり緩和して、ショックを和らげている印象の作品でした。

 

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