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October 2020

2020.10.25

「スパイの妻<劇場版>」

もとはNHKのドラマだったそうで。ちょっと時代掛かり過ぎのきらいはあるものの、ポイントはまあまあ押さえている。コスモポリタンという言葉は久しぶりに聞いた気もするけど、ちょっと浮いている感じだろうか。

お話は、社会が一方向に向かって暴走した戦前の空気の中で、理想と主張を貫こうとする貿易商の主とその妻の、信頼と絆、それさえも手段として使った主の鋼の決意、残された妻の達観を浮き立たせている。

自社の社員を贄として差し出すことで、夫の理想に追いつき並ぼうとした妻が、自分もまた贄にされたとわかったときの、「お見事でございます!」の叫びが、ひとつの山。浅知恵と言うのは簡単だが、そこに、保護され続けることを否定して自立を望んだが、経験不足は隠しようもなく挫折した女性の、悲痛な響きが聞こえる気もする。

そして、後日談の中で、彼女が旧知のエスタブリッシュメントに語った言葉が、この作品の白眉だろう。もちろん全ては、これを言わせるための筋書きであったわけだ。

戦前との類似が囁かれる今の世情に、この話は刺さるものがありました。


ロケがなかなかいいところを使っている。神戸の建築も文化財級のところを使っているらしいけれど、関東の人間としては積善館とか出てきて懐かしかった。主人公夫婦の家の玄関もどこかで見たことがある気がするのだが思い出せない・・

蒼井優。なぜあなたはいつまでたってもそれほど演技が下手で発声がだめなのか。「お見事でございます!」のシーンは、この映画最大の見せ場にして裏切られた妻の悲哀と男への畏敬とがないまぜになった味わい深い想いを観客に焼き付け粛然と涙を誘うべき場面なのに、あなたが昏倒したときのこのおれたちひょうきんぞくのオチみたいな喜劇感はなんですか。まわりの俳優たちが全員笑いを必死にこらえている気さえしましたよ。全部あなたのせいですよ(笑)。

まあすごく笑えたから許しますけど。

 

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2020.10.18

「劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編」

策略渦巻く前半は伊之助が突破力で大活躍。後半は手に汗握るけど単調な力比べで煉獄が・・・というよく練れた構成。
作品世界をあらかじめ知っていることが前提の筋書きですが、NETFLIXのアニメで予習しておいたのが生きました。

子供の情操教育にはなかなかよいエピソードだったのではないでしょうか。といっても映像的には手首が切れ飛んだり首を切ったりもありますが、台所で魚を捌いたりする日常とさして変わりはないからいいのでしょう。

それにしても、なんだか昭和が戻ってきたみたいな感じがちょっとしました。まあ大正ロマンの時代の話だから、そういう感じになるのかもしれないけど。

漫画の方は2013年からの連載だけれど、完結したいま、映画化されたのはちょうど良いタイミングで、平成の沈滞した手詰まり感を吹き飛ばしてくれるとよいなと思います。コロナの停滞も一緒にね。

 

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2020.10.04

「エマ、愛の罠」

愛の罠とか極めて不道徳とか煽り文句が流れているけど、まあその点はそれなり。ダンサー達のストリートでのパフォーマンスや、火炎放射器を使ったストレス解消や、お約束の乱交パーティなど、かなりアナーキーな感じが漂ってくるけれど、その隠された目的が、子供と家族に対する真摯な希求である点が、単なる不良映画とは違うところ。

作り手が意図しているかどうかわからないが、この作品は、行くところまで行った核家族化の崩壊と、それに代わる新たな家族像を示していると言えなくもない。子供を安心して育てるには、ふた親だけでは十分ではなく、多くの大人に囲まれて、一緒に育つ子供たちが必要だということを見せている。そして、血のつながりは必ずしも重要ではない。

映画、特にハリウッド映画ではよく、仲間たちのことを「ファミリー」と言うことがあって、その割に家族としての日常が描けていない口先だけのものが多い。けれどもこの映画の女ダンサー達の絆は、じっくりたっぷり描かれていて、本物を感じさせる。彼女たちなら、確かに、子供を立派に育てられそう。

そのあたりを描けているところに、本作の値打ちがあると思います。

それにしても、この主演女優さんの不貞不遜な眼力は何でしょうね。それだけでもぐいぐい引っ張られます。

堅苦しい規則の中で毎日を生きて、何かが死にかけているなら、ちょっと見て勇気をもらえかもしれない、そういう感じの一本でした。

 

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2020.10.01

「劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song」

めくるめく厨2の世界。こころが洗われるようです。
ついたち映画の日で安いので、仕事帰りに間に合うもので絞ったらこれになりました。後悔はしていません。

それにしてもこのプロットは秀逸だなあとつくづく思います。このシリーズの面白さの半分以上は、そのプロットにあると思うですよ。群像劇。戦略性。組み合わせを変えた戦闘と戦術。

ストーリーはNETFLIXで見たアニメ版とかなり違うみたいで、アニメではほとんど出番がなかったさくらが、劇場版ではきっちり真ん中に据わっていて、よいですな。発育もよく育ってくれてるし。

相変わらず思い込みの激しそうな長い台詞のやりとりと動きの激しい美麗なバトルシーンとが入れ代わり立ち代わりで飽きません。
今回はライダーお姉さんが良かったかな。

いまどきの青少年はこういうの見るのかと思って劇場を見回すと、実は少し歳を食ったオタ風の人たちが多くて、ああ、そういう層に支えられてるのかもなと思いました。青少年は劇場版までカバーする経済力がないのかもれませんが。

セイバーの最後がああいう風だったのは、聖杯戦争の完全終結にふさわしかったかもですね。さらば、サーヴァント達。
ってライダー・・受肉したんだっけ?

そのあたりの経緯を確かめるためにも、そのうちⅠ、Ⅱも見てみたいです。

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